
この前紹介した三菱UFJリースは、最近どうなの?



4月1日から三菱HCキャピタルに商号変更したよ。そして5月17日に、通期決算が発表されたよ!
- 日本株を買いたいけど、なにを買ったらいいかわからない
- 三菱HCキャピタルがどんな銘柄か知りたい
- 三菱HCキャピタルの最新の業績を知りたい
三菱UFJリースは、2021年4月1日に日立キャピタルと合併し、三菱HCキャピタルに商号変更されました。
この記事では、2021年5月17日に発表された三菱HCキャピタルの2021年3月期通期決算の内容についてご紹介します。
過去の業績や財務指標については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
三菱HCキャピタル(8593)の事業概要


ここからは、三菱HCキャピタルが行っている事業について解説していきます。
三菱HCキャピタルの会社概要
三菱HCキャピタル株式会社(みつびしエイチシーキャピタル、英 Mitsubishi HC Capital Inc.)は、東京都千代田区丸の内に本社を置く大手総合リース会社。三菱グループの中核リース会社である。東京証券取引所市場第一部上場。コーポレートスローガンは「Voyager to the Frontier」。
Wikipedia(三菱HCキャピタル)から引用
リース事業とは、お客さんが必要な設備などを代わりに購入して、お客さんに貸し出しをすることで収益を得る事業です。
似たもので「レンタル事業」がありますが、レンタル事業は、需要があるものなどをあらかじめ事業者側が用意して、不特定多数の人に貸して収益を得る事業です。
「お客さん」が主体なのか、貸し出す「モノ」が主体なのかが異なります。
過去には、同じくリース事業を行っている銘柄としてオリックスを分析しています。
ぜひ併せてご覧ください。
国内・海外カスタマービジネス
リース、レンタル、中古機器売買などの事業を行います。
情報関連機器や工場の工作機械、熱源設備、店舗施設などを主に取り扱っています。
航空事業


航空機リースやエンジンリースなどを主に行っています。
不動産事業
ユーザーの仕様に合わせて建物を建設して賃貸する不動産リースを行っています。
また、古いビルの改修などによってバリューアップを図る不動産再生投資や、アセットマネジメント事業を行っています。
ロジスティクス事業
船舶ファイナンス、海上コンテナリース、鉄道貸車リースなどを行っています。
環境・エネルギー事業


太陽光発電事業を中心に、再生可能エネルギービジネスを行っています。
ヘルスケア事業
医療機器リース、病院の開業支援、医療機器の中古販売などを行っています。
インフラ・企業投資
国内外のインフラプロジェクトに対するファイナンスの提案を行うほか、PFI事業を行っています。
PFI事業とは、民間の資金やノウハウを活用して、公共施設の整備・維持管理などを行う事業です。
三菱HCキャピタル(8593)が21.3期通期決算を発表!


2021年5月17日に、三菱HCキャピタルの通期決算が発表されましたので、その内容を解説していきます。
なお、特定銘柄および株式市場全般の推奨や株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。投資の判断は自己責任でお願いいたします。
株価指標と配当利回り
三菱HCキャピタルの株価指標と配当利回りは次のとおりです。
株価 | 625円(+53円) |
年間配当 | 26円 |
配当利回り | 4.16%(△0.29%) |
発行株式数 | 895,834,160株 |
時価総額 | 916,820百万円 |
21.3期確定利益 | 55,330百万円 |
22.3期予想利益 | 95,000百万円 |
21.3期純資産 | 821,233百万円 |
予想PER | 9.44倍(△0.75倍) |
PBR | 0.69倍(+0.04倍) |
株価は、前回記事をアップした2021年2月12日終値から53円(+9.26%)値上がりしました。
21.3期の配当金は0.5円増配の25.5円で決定、22.3期も更に0.5円増配する見込みです。
増配しましたが、当時よりは株価が大きく上がっており、配当利回りは少し下がってる状況です。
22.3期の業績予想が大きく伸びていますが、経営統合による増益が含まれており、単純な前期比較はできません。
2021年5月の「その他金融業」業種別平均では、PERは12.0倍、PBRは1.1倍となっています。
同業種他社とPER・PBRを比較します。
銘柄 | 予想PER | PBR |
---|---|---|
三菱HCキャピタル(8593) | 9.44倍 | 0.69倍 |
オリックス(8591) | 9.73倍 | 0.80倍 |
東京センチュリー(8439) | 12.96倍 | 1.36倍 |
菱洋総合リース(8424) | 7.15倍 | 0.72倍 |
いずれも大手リース業者をピックアップしました。
競合他社や業種別平均と比較した結果、次のように判断できます。
三菱HCキャピタルの現在の株価は、PER・PBRいずれもやや割安な水準にあります。
PER・PBRの考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
過去3ヶ月の株価変動は次のとおりです。


過去3ヶ月の最安値は2021年3月4日の587円、最高値は同3月19日の698円でした。
過去3ヶ月で見れば、現在の株価は下降局面にあるように思えます。
株価変動に影響を与えたと思われるようなニュースは次のとおりです。
- 3月18日、東洋経済新報社のコメントで、21.3期は航空機で苦戦して減益だが、22.3期は統合による大幅増益、不動産好調、航空機回復などを予想。
- 5月17日、21.3期の通期決算を発表。減収減益で、市場予想も若干下回る。
- 同日、21.3期は通期で0.5円の増配で決定。直近予想から変更なし。22.3期も0.5円増配見込み。
東洋経済新報社は、会社四季報などを発刊している会社です。
株主優待


三菱HCキャピタルには、株主優待がありません。
通期決算の概要
2021年5月17日に、三菱HCキャピタルの2021年3月期通期決算が公表されました。
連結経営成績は、次のとおりです。
億円 | 前年比 | |
---|---|---|
売上高 | 8,943 | △3.2% |
営業利益 | 624 | △32.1% |
経常利益 | 650 | △31.1% |
当期利益 | 553 | △21.8% |
21.3期は、減収減益となりました。
セグメント別の利益および増減は次のとおりです。
セグメント | 利益(円) | 増減 |
---|---|---|
カスタマービジネス | 256億 | +51.5% |
環境・エネルギー | 37億 | +11.4% |
ヘルスケア | 7億 | +12.1% |
不動産 | 280億 | +12.6% |
航空 | 28億 | △88.7% |
ロジスティクス | 19億 | +91.6% |
インフラ・企業投資 | 3億 | △56.4% |
計 | 630億 | △12.9% |
増益となっているセグメントがある一方で、航空セグメントの減益が大きく、全体で前期よりも減益となりました。
カスタマービジネスでは、海外において貸倒関連費用の増加があったものの、株式や社用資産の売却等により増益となりました。
航空では、エアラインの破綻等に伴うリース料減少などにより大きな減益となりました。
ロジスティクスでは、景気悪化による鉄道貨車の収益減があったものの、海上コンテナの稼働率上昇により、大きな増益となりました。
21.3期は事業拡大ペースが鈍化
21.3期のキャッシュフローについて、次のとおりです。
百万円 | 前年同期比 | |
---|---|---|
営業CF | 199,314 | 赤字⇒黒字 |
投資CF | 1,220 | 赤字⇒黒字 |
財務CF | △372,808 | 黒字⇒赤字 |
現金等増減額(差引) | △169,455 | 20.3期は増加 21.3期は減少 |
営業CFについては、20.3期赤字だったものが、21.3期は黒字となりました。
リース業は、リース資産を先行投資し、何年もかけて回収していく業態なので、営業CFの赤字はむしろ成長していると見るのが一般的です。
21.3期は営業CFが黒字だったので、リース資産の買い付けが例年より少なく、事業拡大を思うようにできなかったと見ることができるでしょう。
投資CFについては、定期預金は払戻よりも預入が上回ったことによる純支出、有価証券は売却よりも取得が上回ったことによる純支出があったものの、社用資産の売却などもあり、収入超過となりました。
社用資産の売却による収入は、約32億円とされており、これによって投資CFが黒字化しています。
財務CFについては、借入金の純支出や、配当金の支払いなどによって、支出超過となっています。
福岡の中心地でホテル運営事業を開始


三菱HCキャピタルの完全子会社である、MUL リアルティインベストメント(以下、「MULI」)は、福岡市の天神エリアでホテル事業を共同で推進しており、2021年3月15日に『ホテルJAL シティ福岡 天神』を開業したことを発表しました。
当ホテルは、九州最大の商業集積地である天神エリアに位置し、福岡空港へのアクセスにも優れています。
MULIは、このホテルへの投資だけではなく、経営会社として事業参画していきます。
三菱HCキャピタルは、三菱UFJリース時代である2020年4月に、中期経営計画を策定しています。
この中では、「社会資本分野」を注力分野として位置付けています。
MULIは、オフィスや商業施設など、老朽化不動産の再生投資事業に幅広く取り組んでいます。
今後も、不動産を所有するだけではなく、経営に参画していくことで、地域経済の活性化やホテルの質向上などに取り組んでいくとのことです。
売上高、キャッシュフロー、配当推移など
三菱HCキャピタルの過去の売上高やキャッシュフロー、配当推移などは、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
三菱HCキャピタル(8593)が21.3期通期決算を発表! まとめ



最近の三菱HCキャピタルのことがなんとなくわかったよ。



不動産は好調で、航空が回復できるかどうかがカギだね!
ここまで、三菱HCキャピタルの21.3期通期決算内容について解説してきました。
重要なポイントをまとめると、次のとおりです。
- 三菱HCキャピタルの21.3期は減収減益も、22.3期は経営統合による大きな増益が予想されている
- 三菱HCキャピタルは、22.3期も不動産が堅調に推移し、航空セグメントも回復が期待されている
- 三菱HCキャピタルの営業CFが黒字化。21.3期は事業拡大ペースが鈍化したと見ることができる
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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その5つの理由について解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
まみこでした。


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