
明和産業ってどんな銘柄なの?



2021年9月時点で、日本株の高配当利回りランキングの上位にランクインされているよ。高配当の理由や長期投資として「アリ」かどうか分析していくよ。
- 日本株を買いたいけど、なにを買ったらいいかわからない
- 明和産業がどんな企業か知りたい
- 明和産業の業績が知りたい
2021年7月31日に22.3期第1四半期決算が発表された、明和産業を分析します。
また、同年8月31日には業績予想や配当予想の修正が発表されており、それについても詳しく分析していきます。
この記事を読めば、さまざまな指標から明和産業に投資するかどうか判断することができます。
明和産業(8103)の事業概要


ここからは、明和産業が行っている事業について解説していきます。
明和産業の会社概要
明和産業株式会社(めいわさんぎょう、英: Meiwa Corporation)は、化学産業をはじめとしたさまざまな業界と接点を有し、幅広い分野で事業を展開する三菱グループの商社である。東京証券取引所の市場第一部に上場。
Wikipedia(明和産業)から引用
明和産業が行ってる事業について、セグメント別にご紹介します。
第一事業
資源・環境ビジネス、樹脂・難燃剤ビジネスを行っています。
レアアース・レアメタルなどの資源開発を行うほか、難燃剤取引では国内にとどまらず、中国や東南アジアへの展開を図っています。
第二事業
石油製品のトレーディング事業を行っています。
ENEOSの特約店として半世紀以上にわたり、石油製品全般の国内販売、輸出を行っています。
三菱商事のほか、韓国や台湾などの企業に対し、石油製品の供給体制を構築しています。
また、中国国内において潤滑油の生産・販売事業を行っています。
第三事業
高機能素材事業と、機能建材事業を行っています。
高機能素材事業は、化学品素材からコーティング剤、フィルム製品などの化学品、合成樹脂の加工製品などを作っています。
機能建材事業は、内装や防水の各分野において、環境にやさしい建材の開発などを行っています。
自動車・電池材料事業


自動車事業では、出資先の自動車部品メーカーやパートナー企業とともに、ニーズの変化に対応した自動車部品を提供できるよう、事業を展開しています。
電池材料事業では、低炭素・循環型社会に貢献するため、電池材料の出発原料、製品の製造販売、電池のリユース・リサイクルまでのソリューション事業を行っています。
明和産業(8103)の株価分析!


ここからは、さまざまな指標から明和産業の株価を分析していきます。
なお、特定銘柄および株式市場全般の推奨や株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。投資の判断は自己責任でお願いいたします。
株価指標と配当利回り
明和産業の株価指標と配当利回りは次のとおりです。
株価 | 1,161円 |
年間配当 | 115円 |
配当利回り | 9.90% |
発行株式数 | 41,780,000株 |
時価総額 | 48,506百万円 |
21.3期確定利益 | 1,198百万円 |
22.3期予想利益 | 1,800百万円 |
21.3期純資産 | 34,704百万円 |
予想PER | 24.23倍 |
PBR | 1.40倍 |
最新の配当予想は、2021年8月31日に発表された115円です。
2021年9月17日終値をもとに配当利回りを計算すると、9.90%という異常なほど高い数値となります。
明和産業は東証一部市場に上場しており、「卸売業」に該当します。
2021年8月の業種別平均では、PERは18.5倍、PBRは1.0倍となっています。
明和産業と同じように、化学品などの卸売業を行っている大手他社とPER・PBRを比較します。
銘柄 | PER | PBR |
---|---|---|
明和産業(8103) | 24.23倍 | 1.40倍 |
三井物産(8031) | 6.30倍 | 0.91倍 |
伊藤忠商事(8001) | 8.38倍 | 1.59倍 |
三菱商事(8058) | 9.26倍 | 0.95倍 |
いずれも、東証一部に上場しています。
業種別平均や、化学品などの卸売業を行う大手他社と比較した結果、次のように判断することができます。
明和産業の現在の株価は、PERで見れば「かなり割高」、PBRで見れば「割高」です。
PERは、今期(22.3期)の当期純利益予想で、株価が割安かどうかを表す、短期的視点による指標です。
PBRは、純資産残高を見た時に、株価が割安かどうかを表す、長期的視点による指標です。
PBRやPERの考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
なお、過去1年の株価変動は次のとおりです。


青いチャートが明和産業、オレンジのチャートは日経平均株価を表しています。
2021年8月31日の大幅な増配修正などを受けて、株価は最大で約3倍まで伸びました。
少し日が経った同年9月17日終値においても、8月31日の467円と比べて2.48倍となっています。
過去1年では、2021年9月6日の1,400円が最高値で、2021年1月4日の432円が最安値となっています。
株価変動に影響を与えたと思われるようなニュースは次のとおりです。
- 5月10日、21.3期通期決算を発表。営業利益ベースで50%増。
- 7月30日、22.3期第1四半期決算を発表。経常利益ベースで前年同期より200%以上増。
- 8月31日、業績予想の上方修正を発表。
- 同日、配当予想の大幅な増配修正を発表。
- 同日、プライム市場基準への適合条件と一次判定結果の公表と、今後プライム市場への上場を目指すことを発表。



プライム市場ってなに?



2022年4月から、東証一部、二部、マザーズ、ジャスダックを再編して、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場になるんだ。
売上高、経常利益の推移
明和産業の売上高と経常利益の推移は次のようになっています。


売上高はおおよそ横ばいに推移しているものの、営業利益・経常利益ともにやや右肩下がりです。
売上高が一定で、利益が下がっているということは、売上原価か、販管費が高くなっていることが予想できます。
経常利益(円)=営業利益(円)+営業外利益(円)-営業外費用(円)
営業利益率の推移


営業利益とは、本業で稼いだ利益のことです。
営業利益率は、売上高に占める営業利益の割合を示すもので、営業利益率が高ければ、本業の業績が良いと判断することができます。
経産省の報告によれば、日本株の営業利益率の平均は7%前後で、10%を超えれば良好と判断することができます。
ただし、卸売業は複数の業者が介入するという特徴から、営業利益率平均は1%程度です。
明和産業の営業利益率は、近年1.5%前後を推移しています。
大手の卸売業の営業利益率には劣りますが、特に問題はない水準と言えそうです。
営業利益率(%)=営業利益(円)÷売上高(円)×100
キャッシュ・フローの推移
キャッシュ・フローは、現金の動きを表したものです。
明和産業のキャッシュ・フローの推移は次のとおりです。


18.3期と19.3期で営業CFが赤字となっており、注意が必要です。
過去10年は、概ね次のようなキャッシュフローとなっています。
- 営業CF 黒字
- 投資CF 赤字
- 財務CF 赤字
本業で増やしたキャッシュによって、新たな設備投資(投資CFの赤字)を行ったり、借入金の返済を行っています。
なお、投資CFが黒字の年は、新たな設備投資よりも、投資有価証券の売却収入や貸付金の回収が上回っていることになります。
18.3期と19.3期を除いては、健全なキャッシュフローと判断することができます。
当面は資金繰りに困ることはないでしょう。
自己資本比率の推移


自己資本比率は、総資産に占める、自己資本(純資産)の割合を示すものです。
一般的に、自己資本比率が40%を超えていれば、倒産リスクは低いと言われています。
ただし、卸売業は在庫確保のための短期借入金などの負債が増えやすい傾向にあります。
「卸売業の場合は、自己資本比率は最低でも20%以上は必要」というのが一般的な考え方です。
明和産業の自己資本比率は、近年40%を超えて推移しています。
卸売業ということを踏まえると、明和産業の自己資本比率は何の問題もない値ですね。
自己資本比率(%)=自己資本(総資産-負債)÷総資産
ROE、ROAの推移


このグラフは、明和産業のROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)の推移を表しています。
日本株のROE平均は6%から7%程度、ROA平均は3%程度です。
明和産業は、自己資本比率が上がっているにもかかわらず、利益が右肩下がりなので、ROEが低下しています。
自己資本をベースに考えると、利益を生み出すのに効率が良くない状態です。
21.3期は平均を下回ってしまったので、注視したいところですね。
明和産業は22.3期に多くの配当金を支出する予想ですが、自己資本比率を下げたいという狙いもあるのでしょう。
ROAは概ね横ばいに推移しており、平均程度の水準です。
ROE(%)=当期純利益(円)÷純資産(円)
ROA(%)=当期純利益(円)÷総資産(円)
株主優待


明和産業には、株主優待はありません。
配当金、配当性向
明和産業の配当金と配当性向の推移は、次のようになっています。
配当金 | 配当性向 | |
---|---|---|
12年3月 | 6円 | 9.01% |
13年3月 | 6円 | 14.86% |
14年3月 | 7円 | 10.28% |
15年3月 | 8円 | 11.56% |
16年3月 | 8円 | 16.24% |
17年3月 | 8円 | 14.54% |
18年3月 | 10円 | 16.15% |
19年3月 | 10円 | 18.39% |
20年3月 | 56円 | 107.8% |
21年3月 | 15円 | 41.84% |
22年3月(予想) | 115円 | 266.8% |
明和産業の配当方針として、連結配当性向50%を基本としています。
明和産業は、22.3期業績予想の上方修正などを踏まえて、 連結配当性向50%の基本方針は維持しつつ、それを上回る配当を行う予定としています。
記念配当などではなく、内部留保資金を積極的に配当していこうということですね。
なお、20.3期にも56円の配当金を出したものの、翌期は元の水準に戻っています。
23.3期の配当は、再び連結配当性向50%前後の配当に戻る可能性が高いですね。
配当性向(%)=1株当たり配当金(円)÷EPS(円)


EPSは、当期利益を、発行済み株式数で割ることで求めることができ、「1株当たり利益」とも言われます。
明和産業のEPSは、一部の年を除いて、概ね横ばいに推移していますね。
一般的には、自社株買いなどで発行済株式数を減らせば、利益が下がってもEPSを一定に保つことができます。
EPS(円)=当期純利益÷発行済み株式数
明和産業の第1四半期決算概要
2021年7月30日に、明和産業の22.3期第1四半期決算が公表されました。
連結経営成績は、次のとおりです。
百万円 | 対前年同期増減率 | |
---|---|---|
売上高 | 34,200 | 13.1% |
営業利益 | 771 | 45.8% |
経常利益 | 1,004 | 217.5% |
当期利益 | 702 | 320.9% |
21.3期の同期と比べて、大きな増収増益となっています。
また、セグメント別の損益について次のとおりです。
セグメント | 損益(百万円) | 増減 |
---|---|---|
第一事業 | 181 | +805% |
第二事業 | 553 | +113% |
第三事業 | 230 | +0.11% |
自動車・ 電池材料事業 | 34 | 前期赤字 ⇒今期黒字 |
計 | 999 | +278% |
全体的に大きな増益となっています。
第一事業では、資源・環境ビジネス事業と樹脂・難燃剤事業に分かれます。
いずれも、需要が持ち直したことで好調に推移したようです。
22.3期通期業績予想の上方修正
2021年8月31日、22.3期通期業績予想の上方修正が発表されました。
最新の通期業績予想は次のとおりです。
百万円 | 増減率 | |
---|---|---|
売上高 | 136,000 | 0% |
営業利益 | 2,200 | 0% |
経常利益 | 2,700 | 3.8% |
当期利益 | 2,000 | 11.1% |
経常利益ベース、および当期利益ベースで上方修正となっています。
経営環境は依然として不透明であるとしながらも、投資先からの受取配当金の増加や、政策保有株式の一部売却を実施すること等により、今回の上方修正となりました。
プライム市場基準充足への取り組みについて
2022年4月から、東京証券取引所の市場区分が次のとおり再編されます。
- 東証一部(2,189社)
- 東証二部(471社)
- マザーズ(382社)
- ジャスダック(694社)
(※社数は2021年8月31日時点)
明和産業は現在東証一部に上場しています。
2021年7月9日付けで東京証券取引所から、新市場区分における上場維持基準への適合条件に関する一次判定結果を受領したようです。
その結果が、2021年8月31日付で次のとおり公表されています。
流通株式数 | 適合 |
流通株式時価総額 | 不適合 |
流通株式比率 | 適合 |
売買代金 | 適合 |
この結果を踏まえて、 同じく8月31日に行われた取締役会で、新市場区分についてプライム市場を選択し、上場維持基準の達成を目指すことを決議しました。
一次判定結果時点の「流通株式時価総額」は9,475百万円で、基準である10,000百万円を僅かに満たしていません。
ただし、先述したように現在株価が暴騰して、2021年9月17日終値での時価総額は48,506百万円となっています。
明和産業(8103)を徹底分析! まとめ



明和産業のことがなんとなくわかったよ。



財務指標は「概ね良好」だね。利益率やキャッシュフローが改善されれば、長期投資も検討できるね。とはいえ、現在の株価はかなり割高だから、今から買いに入るのは要検討だね。
ここまで、盟和産業について事業概要や株価について徹底分析してきました。
重要なポイントをまとめると、次のとおりです。
- 明和産業は、さまざまな分野の化学製品を取り扱うほか、自動車部品や電池部品事業を行っている
- 明和産業は、内部留保資金の積極的な支出により、22.3期は超高配当利回りとなる見込みである
- 明和産業の財務指標は概ね良好で、利益率やキャッシュフローの改善を期待したい
最後まで読んでいただきありがとうございます。
日本株の買い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
まみこでした。


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