
三菱商事ってどんな銘柄なの?



日本の五大商社の一つで、三菱グループの中核企業だよ!
- 日本株を買いたいけど、なにを買ったらいいかわからない
- 三菱商事がどんな企業か知りたい
- 三菱商事の業績が知りたい
2021年2月3日に第3四半期決算が発表された、三菱商事を分析します。
この記事を読めば、さまざまな指標から三菱商事に投資するかどうか判断することができます。
過去には同じく三菱グループの中核を担う、三菱UFJフィナンシャルグループについて分析しています。
こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
三菱商事(8058)の事業概要


ここからは、三菱商事が行っている事業について解説していきます。
三菱商事の会社概要
三菱商事株式会社(みつびししょうじ、英: Mitsubishi Corporation)は、三菱グループの大手総合商社。
Wikipedia(三菱商事)から引用
三菱商事は、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅と共に日本の五大商社の一つです。
三菱商事の報告セグメントは、次のとおりです。
- 天然ガス
- 総合素材
- 石油・化学
- 金属資源
- 産業インフラ
- 自動車・モビリティ
- 食品産業
- コンシューマー産業
- 電力ソリューション
- 複合都市開発
順に解説していきます。
① 天然ガス
北米、東南アジア、豪州、ロシアなどで、天然ガスや原油の生産・開発を行うほか、液化天然ガス(LNG)事業も行っています。
② 総合素材
炭素、鉄鋼製品、機能素材などの販売、事業開発、事業投資を行っています。
③ 石油・化学
原油、石油製品、LPG、エチレン、メタノールなど幅広い分野での販売、事業開発、事業投資などを行っています。
④ 金属資源
炭、銅、鉄鉱石、アルミなどの金属資源への投資・開発などを行っています。
⑤ 産業インフラ
エネルギーインフラ、工作機械、農業機械、エレベーター、エスカレーター、船舶、宇宙航空関連機器など幅広く事業展開しています。
⑥ 自動車・モビリティ
自動車販売や、販売金融を中心に事業を展開しています。
⑦ 食品産業
食糧、生鮮品、生活消費財など、食に関係する分野において、原料の生産・調達から製品製造まで幅広く事業展開しています。
⑧ コンシューマー産業
アパレル、ヘルスケア、物流などの分野において、商品・サービスの提供、事業開発などを行っています。
⑨ 電力ソリューション
発電・送電事業、電力小売事業などを行うほか、リチウムイオン電池や次世代エネルギー開発などを行っています。
⑩ 複合都市開発
都市開発、不動産、企業投資、リースなどの事業を展開しています。
過去には、五大商社の一つ、伊藤忠商事についてファンダメンタル分析しています。
こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
三菱商事(8058)の株価分析!


ここからは、さまざまな指標から三菱商事の株価を分析していきます。
なお、特定銘柄および株式市場全般の推奨や株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。投資の判断は自己責任でお願いいたします。
株価指標と配当利回り
三菱商事の株価指標と配当利回りは次のとおりです。
株価 | 2,838円 |
年間配当 | 134円 |
配当利回り | 4.72% |
発行株式数 | 1,485,723,351株 |
時価総額 | 4,216,482百万円 |
予想当期利益 | 215,675百万円 |
予想PER | 20.94倍 |
PBR | 0.79倍 |
現在の配当利回りは4.72%で、なかなかの高配当銘柄です。
三菱商事は、「卸売業」に該当します。
2021年1月の業種別平均は、PERは12.4倍、PBRは0.9倍となっています。
卸売業の大手他社とPER・PBRを比較します。
銘柄 | PER | PBR |
---|---|---|
三菱商事(8058) | 20.94倍 | 0.79倍 |
伊藤忠商事(8001) | 10.66倍 | 1.41倍 |
三井物産(8031) | 17.13倍 | 0.82倍 |
丸紅(8002) | 8.53倍 | 0.95倍 |
競合他社や業種別平均と比較した結果、三菱商事の現在の株価は、PERではかなり割高、PBRでは割安という結果になりました。
21.3期の当期利益予想を踏まえるとかなり割高ですが、これまでの蓄積(純資産)で見ると割安ということです。
理論上は、短期では株価が下落するものの、長期では上昇する可能性が高いと見ることもできます。
PBRとPERの考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
なお、過去1年の株価変動は次のとおりです。


過去1年では、2020年2月6日の2,948円が最高値で、2020年4月6日の2,094.5円が最安値となっています。
最近は急激に株価が上昇しており、暴落前の水準に達しようとしています。
株価変動に影響を与えたと思われるようなニュースは次のとおりです。
- 8月13日、第1四半期決算を発表。
- 11月5日、第2四半期決算を発表。
- 11月10日、子会社の中央化学について、業績予想の上方修正を発表。
- 1月29日、子会社の日本食品化工について、業績予想の上方修正を発表。
- 2月3日、第3四半期決算を発表。
売上高、経常利益の推移
三菱商事の売上高と経常利益の推移は次のようになっています。


19.3期に売上高が大きく伸びているように見えますが、会計方針の変更によるものです。
経常利益で分析すると、世界的に原油価格が下落した16.3期は経常損失となってしまいました。
三菱商事の事業内容からして、業績が資源価格の影響を受けやすいことに注意しましょう。
経常利益(円)=営業利益(円)+営業外利益(円)-営業外費用(円)
経常利益率の推移(省略)
卸売業の場合は経常利益率をチェックしたいところです。
ただし、三菱商事は会計方針の変更によって売上高が大きく変化しており、あまり参考になりませんので、省略します。
経常利益率(%)=経常利益(円)÷売上高(円)×100
キャッシュ・フローの推移
キャッシュ・フローは、現金の動きを表したものです。
三菱商事のキャッシュ・フローの推移は次のとおりです。


常に営業CFが黒字で推移しており、素晴らしいですね。
11.3期から13.3期までは、営業CFのほかに財務CFも黒字となっていました。
営業で増やしたお金に借入金まで加えて、積極的に事業投資を行っていたという状態です。
14.3期からは継続して、営業CFが黒字、かつ投資CFと財務CFが赤字となっています。
本業でお金を増やしつつ、新たな事業投資や借入金の返済に充てており、最も理想的なキャッシュフローです。
自己資本比率の推移


一般的に自己資本比率は、最低でも40%を超えていないと倒産リスクが高まります。
三菱商事の自己資本比率は、30%から40%あたりを推移しています。
ただし、卸売業は在庫確保のための短期借入金などの負債が増えやすい傾向にあります。
「卸売業の場合は、自己資本比率は最低でも20%以上は必要」というのが一般的な考え方です。
つまり、三菱商事の自己資本比率は適正ラインと言えるでしょう。
自己資本比率(%)=純資産(総資産-負債)÷総資産
なお、卸売業の中でも、自己資本比率が高いのが、電子部品などの卸売を行っている「菱洋エレクトロ」です。
こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。


ROE、ROAの推移


このグラフは、三菱商事のROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)の推移を表しています。
日本株のROE平均は6%から7%程度、ROA平均は3%程度です。
三菱商事の利益率は、おおよそ平均的な水準と言えるでしょう。
ROE(%)=当期純利益(ドル)÷純資産(ドル)
ROA(%)=当期純利益(ドル)÷総資産(ドル)
株主優待


三菱商事には、株主優待はありません。
配当金、配当性向
三菱商事の配当金と配当性向の推移は、次のようになっています。
配当金 | 配当性向 | |
---|---|---|
11年3月 | 65円 | 16.63% |
12年3月 | 65円 | 25.82% |
13年3月 | 55円 | 29.53% |
14年3月 | 68円 | 27.36% |
15年3月 | 70円 | 31.81% |
16年3月 | 50円 | 赤字 |
17年3月 | 80円 | 19.8% |
18年3月 | 110円 | 27.46% |
19年3月 | 125円 | 33.56% |
20年3月 | 132円 | 36.93% |
21年3月(予想) | 134円 | 99.03% |
三菱商事は高い配当利回りが魅力ですが、過去に減配実績があることは覚えておきましょう。
2019年からスタートしている「中期経営戦略2021」では、累進配当を目標とし、配当性向35%程度を目安としています。
21.3期は大きく減益となる見込みですが、増配見込みで、配当性向はほぼ100%です。
来期以降の利益回復がなければ、今後の増配は期待できません。
配当性向(%)=1株当たり配当金(円)÷EPS(円)


なかなか右肩上がりには伸びていません。
高配当を維持するためにも、せめて横ばいをキープしてもらいたいところですね。
EPS(円)=当期純利益÷発行済み株式数
三菱商事の第3四半期決算内容
2021年2月3日に、三菱商事の第3四半期決算が公表されました。
第3四半期(2020年4月1日から2020年12月31日)連結経常利益は、約2,933億円でした。
これは、前年同期比46.9%減となっています。
セグメント利益は、次のとおりです。
セグメント | 利益(円) | 増減 |
---|---|---|
天然ガス | 166億 | △75% |
総合素材 | 12億 | △94% |
石油・化学 | 224億 | 赤字⇒黒字 |
金属資源 | 548億 | △53% |
産業インフラ | 174億 | △53% |
自動車・モビリティ | △87億 | 黒字⇒赤字 |
食品産業 | 323億 | +11% |
コンシューマー産業 | 149億 | △27% |
電力ソリューション | △4億 | 黒字⇒赤字 |
複合都市開発 | 109億 | △62% |
計 | 1,691億 | △54% |
多くのセグメントで大きな減益となっています。
液化天然ガス事業や自動車関連事業で、巡航利益が減少したことなどが大きく響いたようです。
巡航利益とは、特別な要因を除いた平常時の利益のことです。
総合素材セグメントでは、鉄鋼製品事業や炭素事業において、大きく利益が減少しました。
三菱商事(8058)を徹底分析! まとめ



三菱商事のことがなんとなくわかったよ。



今後増配できるかは、大きな痛手を負った業績が、いかに早く回復できるかどうかだね。
ここまで、三菱商事について事業概要や株価について徹底分析してきました。
重要なポイントをまとめると、次のとおりです。
- 三菱商事は、資源開発を中心とした総合商社であり、原油価格などが業績に影響しやすい。
- 三菱商事の売上や利益は、イマイチ伸びていない。今後増配が期待できるかは微妙。
- 三菱商事は、キャッシュフローや自己資本比率など、財務指標は良好。健全経営を続けている。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
日本株の買い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
まみこでした。


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