
バルカーってどんな銘柄なの?



シール材を扱う大手企業で、機能樹脂製品の製造・販売も行っているよ!
- 日本株を買いたいけど、なにを買ったらいいかわからない
- バルカーがどんな企業か知りたい
- バルカーの業績が知りたい
2021年1月27日に第3四半期決算が発表された、バルカーを分析します。
この記事を読めば、さまざまな指標からバルカーに投資するかどうか判断することができます。
四半期ごとの決算や直近のトピックについて、以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
バルカー(7995)の事業概要


ここからは、バルカーが行っている事業について解説していきます。
バルカーの会社概要
株式会社バルカー(英: VALQUA, LTD.)は、東京都品川区に本社を置く産業用のふっ素樹脂や高機能ゴムなど素材製品のメーカーである。工業用パッキン、ガスケット等のシール材大手。
Wikipedia(バルカー)から引用
配管のつなぎ目の気体や液体の漏れを防ぐ、「シール材」を扱う大手企業です。
ほかに、機能樹脂製品などを扱っています。
シール製品事業
バルカーのコア事業(中核事業)です。
半導体製造装置、プラント、産業機械などに使うシール材を扱っています。
「先端産業市場向け高機能シール製品」に力を入れており、19.3期に国内や韓国の工場設備を増強しています。
中期経営計画では、米国でのシェアアップや、中国拠点の本格稼働などを目指しています。
機能樹脂製品事業
シール製品以外にも、機能樹脂製品を始めとした、各種素材の開発・販売を行っています。
先端産業・プラント市場向けの機能樹脂製品(特殊タンク)を、中期経営計画の戦略製品の一つとしています。
米国・中国・台湾での需要拡大に対応していくとしています。
シリコンウエハーリサイクル事業他
シリコンウエハーは、パソコンなどのCPUやメモリー、ICチップ、太陽光電池、車などさまざまなものに使われている、シリコンから作られた部品です。
使用済みとなったテストウェハーや、リジェクト(不合格)扱いになったウェハーを再生加工しています。
バルカー(7995)の株価分析!


ここからは、さまざまな指標からバルカーの株価を分析していきます。
なお、特定銘柄および株式市場全般の推奨や株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。投資の判断は自己責任でお願いいたします。
株価指標と配当利回り
バルカーの株価指標と配当利回りは次のとおりです。
株価 | 2,109円 |
年間配当 | 90円 |
配当利回り | 4.26% |
発行株式数 | 18,688,733株 |
時価総額 | 39,414百万円 |
予想当期利益 | 2,800百万円 |
予想PER | 14.07倍 |
PBR | 1.14倍 |
現在の配当利回りは4.26%で、高配当銘柄と言える水準でしょう。
バルカーの業種は、「化学」に該当します。
2021年2月の業種別平均は、PERは24.2倍、PBRは1.8倍となっています。
同業種他社とPER・PBRを比較します。
銘柄 | 予想PER | PBR |
---|---|---|
バルカー(7995) | 14.07倍 | 1.14倍 |
ニフコ(7988) | 27.97倍 | 2.51倍 |
エフピコ(7947) | 30.41倍 | 2.98倍 |
藤森工業(7917) | 13.73倍 | 1.24倍 |
JSP(7942) | 46.65倍 | 0.69倍 |
東リ(7971) | 16.32倍 | 0.43倍 |
いずれも、化学製品の製造開発などを行っていて、樹脂系の製品が多いことに特徴があります。
業種別平均や、同業種他社と比較しました。
バルカーの現在の株価は、PER・PBRいずれにおいても、やや割安です。
PERは、今期の当期純利益予想で、株価が割安かどうかを表す、短期的視点による指標です。
PBRは、純資産残高を見た時に、株価が割安かどうかを表す、長期的視点による指標です。
PBRやPERの考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
なお、過去1年の株価変動は次のとおりです。


青いチャートがバルカー、オレンジのチャートは日経平均株価を表しています。
日経平均が暴騰していく中で、バルカーはおおよそ横ばいに推移しています。
過去1年では、2021年2月17日の2,183円が最高値で、2020年3月19日の1,557円が最安値となっています。
株価変動に影響を与えたと思われるようなニュースは次のとおりです。
- 7月29日、第1四半期決算を発表。
- 10月28日、第2四半期決算を発表。
- 同日、通期業績予想について「未定」から「減収減益」となる予想を発表。
- 同日、中間配当は5円の減配が確定、期末配当も5円減配予想を発表。
- 1月27日、第3四半期決算を発表。
通期で10円の減配見込みとなりましたが、株価への影響はそれほどでもなかったようです。
売上高、経常利益の推移
バルカーの売上高と経常利益の推移は次のようになっています。


20.3期以降は売上高・経常利益ともに下降気味ですが、それまでは綺麗な右肩上がりに推移していました。
今後回復軌道に乗っていくのか、注目したいところですね。
経常利益(円)=営業利益(円)+営業外利益(円)-営業外費用(円)
営業利益率の推移


営業利益とは、本業で稼いだ利益のことです。
営業利益率は、売上高に占める営業利益の割合を示すもので、営業利益率が高ければ、本業の業績が良いと判断することができます。
日本株の営業利益率の平均は7%前後で、10%を超えれば良好と判断することができます。
バルカーの営業利益率は20.3期と21.3期に下降していますが、それでも平均以上のパフォーマンスです。
18.3期や19.3期は10%を超えており、本業で順調に業績を残していることがわかります。
営業利益率(%)=営業利益(円)÷売上高(円)×100
キャッシュ・フローの推移
キャッシュ・フローは、現金の動きを表したものです。
バルカーのキャッシュ・フローの推移は次のとおりです。


全ての年で営業CFが黒字で、かつ右肩上がりに推移しており、非常に素晴らしいキャッシュフローです。
多くの年で、次のようなキャッシュフローとなっています。
- 営業CF 黒字
- 投資CF 赤字
- 財務CF 赤字
本業で生み出したお金だけで、新たな設備投資や、借入金の返済を行っています。
かつ、営業CFが右肩上がりなので、設備投資による事業拡大も順調です。
非の打ち所がない、完ぺきなキャッシュフローです。
自己資本比率の推移


自己資本比率は、総資産に占める、自己資本(純資産)の割合を示すものです。
純資産は、総資産から負債を引いたものです。
つまり、自己資本比率が50%を超えていれば、負債よりも自己資本の方が多いということです。
一般的に、自己資本比率が40%を超えていれば、倒産リスクは低いと言われています。
バルカーの自己資本比率は一定に保たれていて、60%から70%の間を推移しています。
バルカーは、自己資本比率が非常に高く、債務超過による倒産リスクはかなり低いと見てよいでしょう。
自己資本比率(%)=自己資本(総資産-負債)÷総資産
ROE、ROAの推移


このグラフは、バルカーのROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)の推移を表しています。
日本株のROE平均は6%から7%程度、ROA平均は3%程度です。
バルカーは近年、ROE・ROAともに平均を大きく上回る高い水準で推移しています。
投下資本に対して、効率のいい経営をしていることがわかります。
ROE(%)=当期純利益(円)÷純資産(円)
ROA(%)=当期純利益(円)÷総資産(円)
株主優待


バルカーには、株主優待がありません。
配当金、配当性向
バルカーの配当金と配当性向の推移は、次のようになっています。
配当金 | 配当性向 | |
---|---|---|
11年3月 | 40円 | 38.65% |
12年3月 | 40円 | 40.7% |
13年3月 | 50円 | 94.98% |
14年3月 | 50円 | 65.12% |
15年3月 | 55円 | 48.97% |
16年3月 | 60円 | 60.5% |
17年3月 | 75円 | 45.14% |
18年3月 | 85円 | 39.16% |
19年3月 | 95円 | 38.81% |
20年3月 | 100円 | 60.28% |
21年3月(予想) | 90円 | 58.81% |
バルカーは、株主還元方針として、配当金と自社株買いを合わせた、株主還元性向を50%とすることを目標にしています。
21.3期は10円の減配見込みですが、それでも株主還元性向が60%近くまで上がっています。
仮に配当金を維持して100円とすると、株主還元性向が65%まで上がってしまうので、健全経営を継続するためには減配やむなしといったところでしょうか。
利益が回復した時に、増配や自社株買いをしてくれることを期待しましょう。
配当性向(%)=1株当たり配当金(円)÷EPS(円)


EPSは、当期利益を、発行済み株式数で割ることで求めることができ、「1株当たり利益」とも言われます。
EPSも19.3期以前は右肩上がりでしたが、20.3期からは下降気味です。
EPSが回復しなければ増配ができないので、今後のEPS回復に期待したいところです。
EPS(円)=当期純利益÷発行済み株式数
バルカーの第3四半期決算内容
2021年1月27日に、バルカーの第3四半期決算が公表されました。
第3四半期(2020年4月1日から2020年12月31日)は、約24億円の経常利益となりました。
これは、前年同期比で29.0%減となっています。
セグメント利益(損失)は、次のとおりです。
セグメント | 利益(円) | 対前年比 |
---|---|---|
シール製品 | 29.4億 | +15.0% |
機能樹脂製品 | △6.3億 | 前期黒字、 今期赤字 |
シリコンウエハーリサイクル他 | △0.6億 | 前期黒字、 今期赤字 |
計 | 22.5億 | △33.0% |
シール製品は、機器市場やプラント市場向けの販売が減少したことなどにより、減収となったものの、先端産業市場向けの販売が好調に推移し、増益となりました。
機能樹脂製品は、主要市場からの需要減、大型案件の見直し等により、セグメント損失となりました。
バルカー(7995)を徹底分析! まとめ



バルカーのことがなんとなくわかったよ。



財務指標はすごく良好だから、今後売上が回復すれば、高配当株投資の中核を担えそうな、素晴らしい銘柄だよ!!
ここまで、バルカーについて事業概要や株価について徹底分析してきました。
重要なポイントをまとめると、次のとおりです。
- バルカーは、シール材を扱う大手企業で、機能樹脂製品の製造・販売も行う。
- バルカーは、20.3期から減収減益が続き、21.3期は減配見込みとなった。
- バルカーの財務状況や利益率は非常に良好で、当面倒産リスクが非常に低い銘柄である。
この記事では、過去10年の決算内容をファンダメンタル分析してきました。
四半期ごとの決算や直近のトピックについて、以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
まみこでした。


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