
エイベックスってどんな銘柄なの?



音楽配信やライヴ開催などを手掛ける企業だよ!
- 日本株を買いたいけど、なにを買ったらいいかわからない
- エイベックスがどんな企業か知りたい
- エイベックスの業績が知りたい
2021年2月4日に第3四半期決算が発表された、エイベックスを分析します。
この記事を読めば、さまざまな指標からエイベックスに投資するかどうか判断することができます。
エイベックス(7860)の事業概要


ここからは、エイベックスが行っている事業について解説していきます。
エイベックスの会社概要
エイベックス・グループ (avex Group) は、エイベックス株式会社(Avex Inc.)を持株会社とした日本の企業グループである。略語は「エイベックス」または、「エイベ」。グループの中核企業として音楽事業のエイベックス・エンタテインメント株式会社、マネジメント事業のエイベックス・マネジメント株式会社、映像事業のエイベックス・ピクチャーズ株式会社、デジタル事業のエイベックス・デジタル株式会社がある。
Wikipedia(エイベックス・グループ)から引用
エイベックスの報告セグメントは、次のとおりです。
- 音楽
- アニメ・映像
- デジタル・プラットフォーム
- テクノロジー
- その他
順に解説していきます。
① 音楽
音楽関連のビジネスインフラを集約しています。
ライヴ開催、音楽パッケージ、音楽配信、音楽出版などの事業を展開しています。
② アニメ・映像
アニメコンテンツパッケージの企画・制作・販売を行っています。
③ デジタル・プラットフォーム
デジタル・プラットフォームの企画・運営を行っています。
映像配信として「dTV」の運営を行っているほか、ファンクラブ運営や、「Yahoo!チケット」を通じたチケット販売はこのセグメントとなります。
④ テクノロジー
注力事業とのシナジーを目指し、さまざまな事業に取り組んでいます。
音声合成サービス「コエステーション」を提供しています。
エイベックス(7860)の株価分析!


ここからは、さまざまな指標からエイベックスの株価を分析していきます。
なお、特定銘柄および株式市場全般の推奨や株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。投資の判断は自己責任でお願いいたします。
株価指標と配当利回り
エイベックスの株価指標と配当利回りは次のとおりです。
株価 | 1,475円 |
年間配当 | 121円 |
配当利回り | 8.20% |
発行株式数 | 45,343,500株 |
時価総額 | 66,881百万円 |
予想当期利益 | 15,000百万円 |
予想PER | 4.29倍 |
PBR | 1.46倍 |
現在の配当利回りは8.20%で、2021年2月19日時点で、日本株で最も配当利回りの高い銘柄です。
ただし、株価が暴落していることによって配当利回りが高くなっている場合など、いろいろな要因が考えられますので、しっかり分析していきましょう。
エイベックスは、「情報・通信業」に該当します。
2021年1月の業種別平均は、PERは34.4倍、PBRは2.1倍となっています。
情報・通信業の大手他社とPER・PBRを比較します。
銘柄 | 予想PER | PBR |
---|---|---|
エイベックス(7860) | 4.29倍 | 1.46倍 |
KDDI(9433) | 11.99倍 | 1.69倍 |
日本電信電話(9432) | 12.10倍 | 1.09倍 |
フェイス(4295) | 165.62倍 | 0.56倍 |
USEN NEXT(9418) | 23.76倍 | 4.61倍 |
KDDIや日本電信電話も、情報・通信業となります。
エイベックスの競合企業と言えば、ソニーミュージックや日本コロムビアです。
ソニーミュージックはソニーの完全子会社となって上場廃止しました。
ソニーの業種は「電気機器」なので、今回は省略しました。
日本コロムビアは、フェイスの完全子会社となって上場廃止しました。
フェイスは「ギリギリ黒字」という会社予想をしていることもあり、PERが異常に高くなっています。
またUSENは、店舗や施設向け音楽サービスを提供しています。
競合他社や業種別平均と比較すると、エイベックスの現在の株価は、PERはかなり割安、PBRは平均的といったところでしょうか。
なお、PBRやPERについての考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
なお、過去1年の株価変動は次のとおりです。


過去1年では、2021年2月12日の1,544円が最高値で、2020年4月23日の760円が最安値となっています。
既に、3月暴落前の株価を超えており、直近の株価が最高値となっています。
株価変動に影響を与えたと思われるようなニュースは次のとおりです。
- 11月5日、希望退職制度の実施について発表。
- 11月30日、子会社が保有するNexToneの株式を一部売却し、特別利益を計上
- 12月24日、希望退職制度の実施結果および特別損失計上を発表
- 同日、固定資産(本社ビル)の売却および特別利益の計上を発表
- 同日、通期業績予想について「未定」から「営業赤字」となること、大幅増配見込みを発表。
- 12月28日、自己株式取得にかかる事項を決定
- 2月4日、第3四半期決算を発表。
人件費削減のために希望退職者を募集したり、本社ビルの売却をしたりと、資金調達に奔走していることがわかりますね。
売上高、経常利益の推移
エイベックスの売上高と経常利益の推移は次のようになっています。


売上高は近年横ばいに推移していましたが、経常利益は13.3期から右肩下がりです。
21.3期については、7,000百万円の営業赤字という見込みを発表していますが、売上高や経常利益については予想を発表していません。
経常利益(円)=営業利益(円)+営業外利益(円)-営業外費用(円)
営業利益率の推移


営業利益とは、本業で稼いだ利益のことです。
日本株の営業利益率の平均は7%前後で、10%を超えれば良好と判断することができます。
エイベックスは、13.3期までは高い営業利益率を誇っていましたが、それ以降は右肩下がりで、「本業で稼げていない」ことがわかります。
営業利益率(%)=営業利益(円)÷売上高(円)×100
キャッシュ・フローの推移
キャッシュ・フローは、現金の動きを表したものです。
エイベックスのキャッシュ・フローの推移は次のとおりです。


20.3期を除いて、常に営業CFが黒字で推移しており、素晴らしいですね。
投資CFはおおよそ赤字ですが、財務CFは黒字の年と赤字の年があります。
財務CFが黒字の場合は、営業で増えたお金に借入金も加えて、事業投資を行っています。
財務CFが赤字の場合は、営業CFで増えたお金で、事業投資のほか借入金の返済を行っており、最も理想的なキャッシュフローです。
20.3期は営業CFで赤字となってしまいましたが、それ以前は良好なキャッシュフローです。
資金繰りにはあまり困っていないということがわかります。
自己資本比率の推移


一般的に自己資本比率は、最低でも40%を超えていないと倒産リスクが高まります。
エイベックスの自己資本比率は、40%前後を推移しています。
当面、負債超過になって倒産というリスクはなさそうですね。
自己資本比率(%)=純資産(総資産-負債)÷総資産
ROE、ROAの推移


このグラフは、エイベックスのROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)の推移を表しています。
日本株のROE平均は6%から7%程度、ROA平均は3%程度です。
エイベックスの利益率は、13.3期くらいまではROE・ROAともに平均の倍近い水準にありました。
少ない自己資本や総資本で、効率の良い経営を継続していたということですね。
しかし、ともに右肩下がりに推移しています。
自己資本比率は一定なので、ROEが下がっているのは、単に利益が減っているということです。
ROE(%)=当期純利益(円)÷純資産(円)
ROA(%)=当期純利益(円)÷総資産(円)
株主優待


エイベックスには、株主優待があります!
「a-nation」チケット
a-nationは、エイベックスが主催する夏フェスです。
2020年はオンラインで開催されました。
保有株式数や保有期間によって、(1)優先予約、(2)割引販売の特典を受けられます。
保有株数 | 3年未満 | 3年以上 | 5年以上 | 10年以上 |
---|---|---|---|---|
100株以上 | (1) | (1)および10%の(2) | (1)および20%の(2) | (1)および30%の(2) |
300株以上 | (1)および10%の(2) | (1)および20%の(2) | (1)および30%の(2) | (1)および40%の(2) |
1,000株以上 | (1)および20%の(2) | (1)および30%の(2) | (1)および40%の(2) | (1)および50%の(2) |
株主限定「スマプラミュージック」・「スマプラムービー」
スマプラミュージックやスマプラムービーは、購入したCDやDVDを、スマホ上で楽しむことができるサービスです。
100株以上の株主に対し、株主しか見ることができない、スマプラミュージックやスマプラムービーが発送されるようです。
配当金、配当性向
エイベックスの配当金と配当性向の推移は、次のようになっています。
配当金 | 配当性向 | |
---|---|---|
11年3月 | 40円 | 32.42% |
12年3月 | 40円 | 34.94% |
13年3月 | 55円 | 23.37% |
14年3月 | 60円 | 43.32% |
15年3月 | 50円 | 34.93% |
16年3月 | 50円 | 50.33% |
17年3月 | 50円 | 1821.19% |
18年3月 | 50円 | 82.89% |
19年3月 | 50円 | 91.93% |
20年3月 | 50円 | 赤字 |
21年3月(予想) | 121円 | 35.2% |
エイベックスは、配当方針として、最低配当金50円もしくは配当性向35%以上を掲げています。
長年、配当性向が高くなっても50円の配当金を継続してきました。
21.3期は、自社ビルの売却により大きな黒字が見込まれますので、「配当性向35%以上」の方針に則り、121円への大幅増配見込みです。
以上のような理由から、22.3期以降の配当金は、利益が大きく回復しない限りは「50円」に戻る可能性が高いです。
配当性向(%)=1株当たり配当金(円)÷EPS(円)


右肩下がりに推移しており、50円の配当金を継続するのも難しくなってくるでしょう。
先述したとおり、21.3期は自社ビルの売却によってEPSが大きく伸びていますが、21.3期限りの一時的なものです。
EPS(円)=当期純利益÷発行済み株式数
エイベックスの第3四半期決算内容
2021年2月4日に、エイベックスの第3四半期決算が公表されました。
第3四半期(2020年4月1日から2020年12月31日)は、約38億円の経常損失となりました。
セグメント利益については、次のとおりです。
セグメント | 利益(円) | 増減 |
---|---|---|
音楽 | △24億 | 黒字⇒赤字 |
アニメ・映像 | 1.2億 | △89.0% |
デジタル・プラットフォーム | 1.8億 | △91.6% |
テクノロジー | △10億 | 赤字⇒赤字 |
計 | △31億 | 黒字⇒赤字 |
音楽では、ライヴ・イベントの開催自粛の影響などにより、営業損失となりました。
アニメ・映像では、パッケージ作品の販売数やイベント関連売上の減少などにより大きな減益となりました。
デジタル・プラットフォームでは、E-コマースの売上減などにより、大きな減益となりました。
エイベックス(7860)を徹底分析! まとめ



エイベックスのことがなんとなくわかったよ。



超高配当な銘柄として気になると思うけど、あくまで一時的なものだね。業績も右肩下がりだし、投資対象としては「ナシ」かな。
ここまで、エイベックスについて事業概要や株価について徹底分析してきました。
重要なポイントをまとめると、次のとおりです。
- エイベックスは、音楽関連事業やアニメ事業などを行っているが、営業利益は何年も前から右肩下がり。
- エイベックスの21.3期は、かなりの高配当予想となっているが、自社ビル売却による一時的なものである
- エイベックスの自己資本比率やキャッシュフローは特に問題なし。債務超過や資金ショートのリスクは薄い。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
日本株の買い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
まみこでした。


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