
日本郵政ってどんな銘柄なの?



郵便事業、銀行事業、保険事業などを行っているよ!
- 日本株を買いたいけど、なにを買ったらいいかわからない
- 日本郵政がどんな企業か知りたい
- 日本郵政の業績が知りたい
2021年2月12日に第3四半期決算が発表された、日本郵政を分析します。
この記事を読めば、さまざまな指標から日本郵政に投資するかどうか判断することができます。
日本郵政(6178)の事業概要


ここからは、日本郵政が行っている事業について解説していきます。
日本郵政の会社概要
日本郵政株式会社(にっぽんゆうせい、英語: Japan Post Holdings Co.,Ltd.)は、日本郵政株式会社法に基づき、日本郵政グループの持株会社として設立された特殊会社。
Wikipedia(日本郵政)から引用
日本郵政は、JTなどと同じように、法律にもとづいて設立された特殊会社です。
日本郵政の株式のうち、過半数を日本政府が保有しています。
日本郵政の報告セグメントは、次のとおりです。
- 郵便・物流
- 金融窓口
- 国際物流
- 銀行
- 生命保険
順に解説していきます。
① 郵便・物流
国内向け各種郵便物、国際郵便といった郵便業のほか、ゆうパックなどの物流業を展開しています。
② 金融窓口
全国各地の郵便局での窓口業務を行っています。
③ 国際物流
子会社のTOLLを通じて、法人顧客向けに国際物流をサポートしています。
④ 銀行
子会社のゆうちょ銀行が事業を行っています。
貯金業務、貸出業務、有価証券投資業務、内国為替業務、外国為替業務などを行っています。
⑤ 保険
子会社のかんぽ生命保険が事業を行っています。
終身保険、がん保険、養老保険などの保険サービスを提供しています。
日本郵政(6178)の株価分析!


ここからは、さまざまな指標から日本郵政の株価を分析していきます。
なお、特定銘柄および株式市場全般の推奨や株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。投資の判断は自己責任でお願いいたします。
株価指標と配当利回り
日本郵政の株価指標と配当利回りは次のとおりです。
株価 | 887.2円 |
年間配当 | 50円 |
配当利回り | 5.63% |
発行株式数 | 4,500,000,000株 |
時価総額 | 3,992,400百万円 |
予想当期利益 | 360,300百万円 |
予想PER | 11.08倍 |
PBR | 0.27倍 |
現在の配当利回りは5.63%で、日本株の中でもかなり高い水準です。
ただし、株価の暴落によって配当利回りが高くなっている場合など、いろいろな要因が考えられますので、しっかり分析していきましょう。
日本郵政は、「サービス業」に該当します。
2021年1月の業種別平均は、PERは38.2倍、PBRは1.9倍となっています。
サービス業の大手他社とPER・PBRを比較します。
銘柄 | 予想PER | PBR |
---|---|---|
日本郵政(6178) | 11.08倍 | 0.27倍 |
リクルート(6098) | 70.35倍 | 8.36倍 |
博報堂(2433) | 32.87倍 | 2.20倍 |
楽天(4755) | 赤字 | 2.51倍 |
セコム(9735) | 26.83倍 | 2.01倍 |
サービス業大手を列記しましたが、業態は幅広く、比較は難しいですね。
日本郵政の競合として、ヤマト運輸や佐川急便などをイメージするかもしれませんが、この両社は「陸運業」に分類されます。
また、日本郵政は銀行事業や生保事業も行っていますので、この両社と比較するのは最適ではないですね。
なお、日本郵政はもともと国営だったこともあり、「切手」など一部の事業は独占状態が続いています。
JTなどと同じく、そもそも比較対象となる企業が存在しないので、PERやPBRによって、株価が割安かどうかについて考察するのは困難であると言えます。
PBRやPERの考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
また、同じく特殊法人であるJTについて、こちらの記事で詳しく解説しています。
こちらについても、ぜひ併せてご覧ください。
なお、過去1年の株価変動は次のとおりです。


過去1年では、2020年2月6日の1,048.5円が最高値で、2020年10月30日の714.7円が最安値となっています。
3月暴落前の株価には、未だ回復していません。


こちらは、日本郵政が2015年11月4日に上場して以来のチャート推移です。
同年12月7日の1,999円が上場来最高値で、それ以来は下降線をたどっています。
株価変動に影響を与えたと思われるようなニュースは次のとおりです。
- 11月13日、第2四半期決算、通期業績予想の上方修正を発表。
- 同日、今期配当金について、「未定」から「前年比維持」と予想を修正。
- 12月3日、業務改善計画の進捗状況等について、JP改革実行委員会に報告したことを発表。
- 12月14日、業務改善計画の進捗状況を、総務省および金融庁に報告したことを発表。
- 2月12日、第3四半期決算を発表。
21.3期の配当金について、中間配当金は25円から0円に減配しましたが、期末に25円から50円に増配する見込みとしたため、通期では「維持」ということになっています。
経常収益、経常利益の推移
日本郵政の経常収益と経常利益の推移は次のようになっています。
日本郵政は、銀行事業や保険事業がありますので、「売上高」ではなく「経常収益」という表現になります。


経常収益、経常利益ともに右肩下がりに推移しています。
成長企業であれば右肩上がり、成熟企業であれば最低限横ばいに推移していなければいけません。
この時点で投資対象として、少なくとも長期投資では、「非適格」と言えるでしょう。
経常利益(円)=営業利益(円)+営業外利益(円)-営業外費用(円)
経常利益率の推移


銀行業や保険業は、モノを売っているわけではないので、営業利益はありません。
よって、今回は経常利益率を考察します。
経常利益率は一般的に4%前後で、日本であれば10%を超えていれば優良企業といわれます。
日本郵政の場合、6%から7%前後を推移しており、平均よりは高い水準にありますね。
経常利益率(%)=経常利益(円)÷売上高(円)×100
経常利益=営業利益+(営業外利益-営業外費用)
キャッシュ・フローの推移
キャッシュ・フローは、現金の動きを表したものです。
日本郵政のキャッシュ・フローの推移は次のとおりです。


ほとんどの年で、営業CFが赤字となっています。
この時点で、他のどの財務指標が良好でも、投資対象として外さなくてはいけません。
(リース業など一部の業種を除きます。)
営業CFの赤字は、「かんぽ生命」の新規契約よりも解約が多いことなどが原因となっています。
また、投資CFがほとんどの年で黒字です。
本業でお金を増やせないので、固定資産や有価証券の売却によって何とか資金を確保している状況です。
自己資本比率の推移


一般的に自己資本比率は、最低でも40%を超えていないと倒産リスクが高まります。
ただし、銀行事業や保険事業を行う場合、自己資本比率はとても低くなります。
なぜかというと、「保険契約準備金」や「債券貸借取引受入担保金」といったものが「負債」として計上されるからです。
保険契約準備金は、保険の支払いのために積み立てておくお金です。
債券貸借取引受入担保金は、信用取引のための貸株に対する担保金です。
日本郵政の20.3期決算総資産は286,098,449百万円です。
仮にこれらの負債を引いてみると、総資産は215,396,998百万円、純資産は83,318,226百万円となります。
すると、自己資本比率は38.68%となります。
よって、日本郵政の自己資本比率は若干低いものの、不安視するほどの状況ではありません。
自己資本比率(%)=純資産(総資産-負債)÷総資産
ROE、ROAの推移


このグラフは、日本郵政のROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)の推移を表しています。
日本株のROE平均は6%から7%程度、ROA平均は3%程度です。
日本郵政のROEは3%前後、ROAは0.15%前後となっており、とても効率の悪い経営をしていることがわかります。
ROE(%)=当期純利益(円)÷純資産(円)
ROA(%)=当期純利益(円)÷総資産(円)
株主優待


日本郵政には、株主優待はありません。
配当金、配当性向
日本郵政の配当金と配当性向の推移は、次のようになっています。
配当金 | 配当性向 | |
---|---|---|
16年3月 | 25円 | 11.76% |
17年3月 | 50円 | 赤字 |
18年3月 | 57円 | 44.29% |
19年3月 | 50円 | 48.08% |
20年3月 | 50円 | 41.8% |
21年3月(予想) | 50円 | 59.46% |
日本郵政は、内部留保の充実に留保しつつ、安定配当を目指すとしており、配当性向については触れられていません。
当面は50円が維持されると思いますが、EPSが下降すると、減配される可能性が高くなります。
日本郵政の株価は下降を続けていますが、配当金を維持していることで、高配当銘柄という位置づけとなっています。
配当性向(%)=1株当たり配当金(円)÷EPS(円)


21.3期を除いて、EPS(1株当たり利益)はむしろ右肩上がりですね。
経常利益が下降しているのに、当期純利益が増えているのは、特別利益を計上している場合がほとんどです。
日本郵政の場合は、固定資産売却益や「価格変動準備金戻入額」などを計上しています。
価格変動準備金は、保険業法において、株式などの資産を運用する場合に積み立てることが義務付けられているものです。
有価証券を売却している分、積立てる必要のある金額が下がり、積み立てた分を戻入しているということでしょう。
EPS(円)=当期純利益÷発行済み株式数
日本郵政の第3四半期決算内容
2021年2月12日に、日本郵政の第3四半期決算が公表されました。
第3四半期(2020年4月1日から2020年12月31日)は、約7,088億円の経常利益となりました。
これは、前年同期比で2.9%増となっています。
セグメント利益については、次のとおりです。
セグメント | 利益(円) | 増減 |
---|---|---|
郵便・物流 | 882億 | △26.7% |
金融窓口 | 418億 | △19.6% |
国際物流 | △83億 | 赤字⇒赤字 |
銀行 | 3,138億 | +8.51% |
生命保険 | 2,608億 | +11.5% |
計 | 7,088億 | +2.89% |
郵便・物流では、今般の情勢下での巣ごもり消費として、メルカリなどのECサイト利用の拡大により取扱数量は増えているものの、普通郵便や国際郵便、年賀はがきの減収などがあって、減益となりました。
生命保険は、「かんぽ生命」です。
新契約の減少に伴う事業費の減少などにより、増益となっています。
日本郵政(6178)を徹底分析! まとめ



日本郵政のことがなんとなくわかったよ。



業績は右肩下がりで、固定資産や有価証券の売却で何とか持ちこたえている状況だね。
ここまで、日本郵政について事業概要や株価について徹底分析してきました。
重要なポイントをまとめると、次のとおりです。
- 日本郵政は、株価が下降し続けているものの、配当金を維持していることにより、高配当銘柄となっている。
- 日本郵政は、経常収益・経常利益ともに右肩下がり。年賀はがきなどの減収が痛い。
- 日本郵政は、固定資産や有価証券の売却によって何とか資金確保や配当金を出している状況である。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
日本株の買い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
まみこでした。


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