
武田薬品ってどんな銘柄なの?



製薬会社の超大手で、世界売上でも上位に入るよ!
- 日本株を買いたいけど、なにを買ったらいいかわからない
- 武田薬品がどんな企業か知りたい
- 武田薬品の業績が知りたい
2021年2月4日に第3四半期決算が発表された、武田薬品工業(以下、「武田薬品」)を分析します。
この記事を読めば、さまざまな指標から武田薬品に投資するかどうか判断することができます。
武田薬品(4502)の事業概要


ここからは、武田薬品が行っている事業について解説していきます。
武田薬品の会社概要
武田薬品工業(たけだやくひんこうぎょう、英文:Takeda Pharmaceutical Company Limited)は、大阪府大阪市中央区と東京都中央区に本社を置く日本の製薬会社である。タケダ、Takeda、武田薬品とも略称される。日経平均株価及びTOPIX Core30の構成銘柄の一つ。
Wikipedia(武田薬品工業)から引用
日本の製薬メーカーの中でも、売上は第1位です。
また、イギリスのShire社買収により、2019年の医薬品企業世界売上は第9位となりました。
武田薬品は、「医薬品事業」のみの単一セグメントで事業を行っています。
武田薬品(4502)の株価分析!


ここからは、さまざまな指標から武田薬品の株価を分析していきます。
なお、特定銘柄および株式市場全般の推奨や株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。投資の判断は自己責任でお願いいたします。
株価指標と配当利回り
武田薬品の株価指標と配当利回りは次のとおりです。
株価 | 3,610円 |
年間配当 | 180円 |
配当利回り | 4.98% |
発行株式数 | 1,576,387,908株 |
時価総額 | 5,690,760百万円 |
予想当期利益 | 162,363百万円 |
予想PER | 31.11倍 |
PBR | 1.21倍 |
現在の配当利回りは4.98%で、日本株の中ではなかなかの高配当銘柄です。
ただし、株価の暴落によって配当利回りが高くなっている場合など、いろいろな要因が考えられますので、しっかり分析していきましょう。
武田薬品は、「医薬品」に該当します。
2021年1月の業種別平均は、PERは32.5倍、PBRは2.5倍となっています。
医薬品の大手他社とPER・PBRを比較します。
銘柄 | 予想PER | PBR |
---|---|---|
武田薬品(4502) | 31.11倍 | 1.21倍 |
大塚ホールディングス(4578) | 15.81倍 | 1.28倍 |
アステラス製薬(4503) | 19.43倍 | 2.47倍 |
第一三共(4568) | 115.60倍 | 4.63倍 |
中外製薬(4519) | 36.16倍 | 8.37倍 |
エーザイ(4523) | 55.13倍 | 3.21倍 |
いずれも、国内製薬の大手企業です。
第一三共の当期純利益予想が前年比で半減しているので、PERがかなり高くなっていますね。
業種別平均や、医薬品大手と比較したところ、武田薬品の現在の株価は、PERは平均的、PBRは割安といったところでしょうか。
PBRやPERの考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
なお、過去1年の株価変動は次のとおりです。


過去1年では、2020年2月7日の4,526円が最高値で、2020年3月17日の2,894.5円が最安値となっています。
暴落後すぐに株価が急激に回復し、2020年5月26日には4,195円を記録したものの、緩やかに株価が下降していますね。
株価変動に影響を与えたと思われるようなニュースは次のとおりです。
- 10月29日、第2四半期決算、通期業績予想の上方修正(売上収益は下方修正)を発表。
- 11月24日、日本製薬の完全子会社化を発表。
- 11月30日、中間期事業活動の報告を発表。
- 2月4日、第3四半期決算、通期業績予想の上方修正を発表。
売上高、経常利益の推移
武田薬品の売上高と経常利益の推移は次のようになっています。


売上高は順調に右肩上がりに増えて、20.3期に大きく増えました。
これは、2019年1月にイギリスのShire社を約6兆8,000億円で買収し、その売り上げが計上されるようになったことなどが起因しています。
経常利益(円)=営業利益(円)+営業外利益(円)-営業外費用(円)
営業利益率の推移


営業利益とは、本業で稼いだ利益のことです。
日本株の営業利益率の平均は7%前後で、10%を超えれば良好と判断することができます。
武田薬品は15.3期に営業赤字となったものの、現在は回復しています。
営業利益率がかなり乱高下していますが、縦軸を見たらわかるように、多くの年で高い営業利益率を誇っています。
営業利益率(%)=営業利益(円)÷売上高(円)×100
キャッシュ・フローの推移
キャッシュ・フローは、現金の動きを表したものです。
武田薬品のキャッシュ・フローの推移は次のとおりです。


19.3期に、財務CFが大きく増加して、投資CFが大きな赤字となっています。
これは、先述したShire社の買収によるものです。
「多額の長期借入金または社債発行による収入(財務CF)」によって、「事業取得による支出(投資CF)」を行いました。
全ての年で営業CFが黒字となっており、素晴らしいですね。
投資CFはほとんどの年で赤字、財務CFは黒字の年が結構あります。
営業CFによる現金増に、借入金も加えることで、積極的な事業投資をしてきたことがわかります。
自己資本比率の推移


一般的に自己資本比率は、最低でも40%を超えていないと倒産リスクが高まります。
武田薬品の自己資本比率は高い水準を誇っています。
近年はShire社の買収によって負債が増えており、注目する必要がありますが、今のところ問題はないでしょう。
自己資本比率(%)=純資産(総資産-負債)÷総資産
ROE、ROAの推移


このグラフは、武田薬品のROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)の推移を表しています。
日本株のROE平均は6%から7%程度、ROA平均は3%程度です。
武田薬品は、ROEもROAも高い水準でしたが、19.3期からは下降しています。
Shire社を買収したことにより、Shire社は「自己資本」になります。
そして買収時には、その会社のブランド力などを示す「のれん」を上乗せして買収することになります。
19.3期バランスシートの「無形固定資産」の欄を見ると、のれんが約3兆円増加しています。
のれんは直接的に利益を生むわけではないので、のれんがあるうちは、自己資本比率や総資産が多くなって、ROE・ROAが下がります。
ROE(%)=当期純利益(円)÷純資産(円)
ROA(%)=当期純利益(円)÷総資産(円)
株主優待


武田薬品には、株主優待がありません。
配当金、配当性向
武田薬品の配当金と配当性向の推移は、次のようになっています。
配当金 | 配当性向 | |
---|---|---|
11年3月 | 180円 | 57.33% |
12年3月 | 180円 | 114.45% |
13年3月 | 180円 | 95.65% |
14年3月 | 180円 | 133.25% |
15年3月 | 180円 | 赤字 |
16年3月 | 180円 | 177.36% |
17年3月 | 180円 | 123.75% |
18年3月 | 180円 | 75.92% |
19年3月 | 180円 | 105.74% |
20年3月 | 180円 | 638.73% |
21年3月(予想) | 180円 | 155.89% |
武田薬品は、2009年3月期に1株配当を180円にしてから、そのまま維持し続けています。
連続増配企業ではありませんが、過去30期以上「非減配」を継続中です。
配当性向がとても高くなっている年があるので、今後も長期的な安定配当を期待できるかは微妙なところです。
配当性向(%)=1株当たり配当金(円)÷EPS(円)


武田薬品のEPSは、おおよそ横ばいに推移しています。
配当性向が100%を超えている年は、1年の利益以上に配当金を支払っているということなので、利益を上げてその分を取り返すようでないと、理屈上は、いつか資金が底を尽きるということになります。
EPS(円)=当期純利益÷発行済み株式数
武田薬品の第3四半期決算内容
2021年2月4日に、武田薬品の第3四半期決算が公表されました。
第3四半期(2020年4月1日から2020年12月31日)は、約2,353億円の経常利益となりました。
これは、前年同期比で220.2%増となっています。
武田薬品は、医薬品事業のみの単一セグメントなので、セグメント利益の報告はありません。
利益が大きく増加していますので、主要因とされている、「SHP647」に関する経緯についてご紹介します。
- 武田薬品がShire社を買収するにあたって、欧州委員会(EC)が買収承認の条件を、武田薬品に提示しました。
- Shire社の新薬候補である「SHP647」が、武田薬品が既に販売している製品と重複することから、「SHP647の売却」を条件としました。
- しかし、競合上の懸念がないということで、その売却義務が解除されました。
- 売却の必要がなくなったことで、臨床試験にかかるはずだった経費が見直されて、結果的に600億円の増益(営業利益)を織り込む形となりました。
武田薬品(4502)を徹底分析! まとめ



武田薬品のことがなんとなくわかったよ。



Shire社の買収もあって、世界でも上位の売上を誇る薬品会社になったよ!
ここまで、武田薬品について事業概要や株価について徹底分析してきました。
重要なポイントをまとめると、次のとおりです。
- 武田薬品は国内の製薬企業で売上首位、大規模買収により世界でも上位に入る
- 武田薬品は、連続非減配は30期以上になるが、配当性向の高さが続いているのは懸念点
- 武田薬品の財務状況は何の問題もなく、更なる成長を期待したい
最後まで読んでいただきありがとうございます。
日本株の買い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
まみこでした。


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