
ヒューリックってどんな銘柄なの?



不動産業大手だよ!不動産賃貸業を中心に、ホテル業、保険業も行っているよ!
- 日本株を買いたいけど、なにを買ったらいいかわからない
- ヒューリックがどんな企業か知りたい
- ヒューリックの業績が知りたい
2021年1月28日に通期決算が発表された、ヒューリックを分析します。
この記事を読めば、さまざまな指標からヒューリックに投資するかどうか判断することができます。
また本記事は、個別銘柄を買う時の「8つのポイント」に沿って解説していきます。
こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
ヒューリック(3003)の事業概要


ここからは、ヒューリックが行っている事業について解説していきます。
ヒューリックの会社概要
ヒューリック株式会社は、東京都心にある不動産の保有賃貸業・投資開発事業を柱とする不動産会社である。
Wikipedia(ヒューリック)から引用
ヒューリックの報告セグメントは、次のとおりです。
- 不動産事業
- 保険事業
- ホテル・旅館事業
順に解説していきます。
不動産事業
不動産賃貸業務、不動産開発業務、アセットマネジメント業務等を行います。
特に不動産賃貸事業に力を入れており、東京23区の駅近好立地に、オフィスビルや商業施設を多数保有しています。
保険事業
保険代理店業務を行います。
完全子会社の、ヒューリック保険サービスが事業を行います。
さまざまな保険会社を抱え、個人や法人に対して最適な保険を提案します。
ホテル・旅館事業
ホテル及び旅館の運営業務を行います。
高齢化の進行、訪日外国人観光客の増加、環境問題深刻化を見据えて、「3Kビジネス」を展開しています。
3Kとは、「高齢者・健康」、「観光」、「環境」を指します。
「THE GATE HOTEL」シリーズ、「ふふ」シリーズ、「ビューホテル」シリーズなどを中心にしています。
同じく不動産業で配当や優待が充実している、サムティの通期決算を分析しています。
こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
ヒューリック(3003)の株価分析!


ここからは、さまざまな指標からヒューリックの株価を分析していきます。
なお、特定銘柄および株式市場全般の推奨や株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。投資の判断は自己責任でお願いいたします。
株価指標と配当利回り
ヒューリックの株価指標と配当利回りは次のとおりです。
株価 | 1,184円 |
年間配当 | 35円 |
配当利回り | 2.95% |
発行株式数 | 673,907,735株 |
時価総額 | 797,906百万円 |
当期利益 | 63,619百万円 |
PER | 12.75倍 |
PBR | 1.72倍 |
現在の配当利回りは2.95%で、高配当銘柄ではありません。
ヒューリックは、「不動産業」に該当します。
2020年12月の業種別平均でPERは13.4倍、PBRは1.1倍となっています。
不動産業の大手他社とPER・PBRを比較します。
銘柄 | PER | PBR |
---|---|---|
ヒューリック(3003) | 12.75倍 | 1.72倍 |
サムティ(3244) | 5.74倍 | 0.84倍 |
三井不動産(8801) | 16.98倍 | 0.85倍 |
住友不動産販売(8830) | 10.69倍 | 1.05倍 |
東急不動産HD(3289) | 25.04倍 | 0.73倍 |
ヒューリックの現在の株価は、業種別平均や他社と比較すると、PERでは平均的、PBRでは割高な状態です。
決算発表された当期純利益でいえば妥当な株価ですが、純資産でいえば割高ということですね。
なお、PBRとPERの考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
なお、過去1年の株価変動は次のとおりです。


過去1年では、2020年2月10日の1,389円が最高値で、2020年3月13日の858円が最安値となっています。
現在は暴落前の株価までには回復していませんが、緩やかに回復しているような状況です。
株価変動に影響を与えたと思われるようなニュースは次のとおりです。
- 4月28日、20.12期第1四半期決算を発表。
- 7月29日、20.12期第2四半期決算を発表。
- 9月29日、リソー教育との資本・業務提携を発表。
- 10月27日、20.12期第3四半期決算を発表。
- 同日、売上高の通期業績予想について、「未定」から「320,000百万円」に修正。配当予想を0.5円アップ。
- 11月24日、簡易吸収分割(完全子会社への事業承継)を発表。
- 1月28日、20.12期通期決算を発表。10月の配当予想よりも1円アップで、前年比4.5円の増配。
20.12期の配当金は、4.5円の増配で36円でした。
21.12期については、2円増配して、38円となる配当予想を発表しています。
売上高、経常利益の推移
ヒューリックの売上高と経常利益の推移は次のようになっています。


多少の増減はありつつも、売上高・経常利益ともに右肩上がりに推移していることがわかります。
21.12期については、営業利益や経常利益の予想はでているものの、売上高予想は「未定」としています。
今後も成長が期待できる素晴らしい内容ですね。
経常利益(円)=営業利益(円)+営業外利益(円)-営業外費用(円)
営業利益率の推移


営業利益とは、本業で稼いだ利益のことです。
日本株の営業利益率の平均は7%前後で、10%を超えれば良好と判断することができます。
不動産業の営業利益率平均は14%前後であり、平均よりも高くなりやすい傾向にあります。
ヒューリックの営業利益率はそれ以上に高い数値となっており、とても良好な水準です。
営業利益率(%)=営業利益(円)÷売上高(円)×100
キャッシュ・フローの推移
キャッシュ・フローは、現金の動きを表したものです。
ヒューリックのキャッシュ・フローの推移は次のとおりです。


営業CFが常にプラスで推移しており、素晴らしいですね。
営業CFと財務CFがプラスで、投資CFがマイナスの年が多いですね。
営業で稼いだお金に借入金まで加えて、積極的に投資を行っている証拠です。
これは中期経営計画に基づいていて、19.12期からの3年間で約1兆円を投資し、経常利益1,100億円を目指すとしています。
ただし、注意したいのはフリーキャッシュフローが常に赤字なことです。
営業CFよりも投資CFの方が常に多い状態なので、事業拡大にはいつも借入金がつきまとうということですね。
ヒューリックは賃貸用不動産事業によって、安定的に営業CFが得られるので、まだ良いですね。
このキャッシュフローで、販売用不動産事業がメインとなってくると資金繰りが心配かなという印象です。
自己資本比率の推移


一般的に自己資本比率は、最低でも40%を超えていないと倒産リスクが高まります。
ただし不動産業は、多くの企業でレバレッジ取引を行っています。
レバレッジ取引とは、借入金によって自己資本以上の取引をすることです。
レバレッジ取引はハイリスクハイリターンであり、不動産業への集中投資は禁物だと言われるのは、これが大きな理由です。
実際、ヒューリックにはネットD/Eを3倍以内にするという方針があります。
負債から現預金を引いた金額を、純資産の3倍以内にするということですね。
逆に言えば、3倍以内ならOKという意思の表れでもあります。
自己資本比率(%)=純資産(総資産-負債)÷総資産
ネットD/E=(有利子負債-現預金)÷純資産
ROE、ROAの推移


このグラフは、ヒューリックのROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)の推移を表しています。
ヒューリックは近年、ROEが10%を超えています。
日本株のROE平均は6%から7%程度なので、高めの水準ではあります。
ただ、ハイリスクハイリターンなレバレッジ取引をしてる以上、もう少し高い水準にありたいところですね。
ROE(%)=当期純利益(ドル)÷純資産(ドル)
ROA(%)=当期純利益(ドル)÷総資産(ドル)
株主優待


ヒューリックには、株主優待があります!
対象は、毎年12月31日現在で3単元(300株)以上保有している株主の方です。
保有年数によって優待内容が異なります。
保有年数 | 優待内容 |
---|---|
3年未満 | 3,000円相当のグルメカタログギフトから1点 |
3年以上 | 3,000円相当のグルメカタログギフトから2点 |
配当金、配当性向
ヒューリックの配当金と配当性向の推移は、次のようになっています。
配当金 | 配当性向 | |
---|---|---|
11年12月 | 5円 | 赤字 |
12年12月 | 2.5円 | 17.93% |
13年12月 | 6.5円 | 18.57% |
14年12月 | 10.5円 | 19.95% |
15年12月 | 15.5円 | 23.2% |
16年12月 | 17円 | 34.11% |
17年12月 | 21円 | 28.09% |
18年12月 | 25.5円 | 31.41% |
19年12月 | 31.5円 | 31.51% |
20年12月 | 36円 | 37.01% |
21年12月(予想) | 38円 | 39.05% |
過去には減配しているものの、13.12期から連続増配を継続中です。
配当性向も40%を目標としていることから、近年は妥当なところを推移しています。
配当性向(%)=1株当たり配当金(円)÷EPS(円)


綺麗な右肩上がりに推移しています。
21.12期も増益見込みです。
今後も増配が期待できる優良銘柄ですね。
EPS(円)=当期純利益÷発行済み株式数
ヒューリックの通期決算内容
2021年1月28日に、ヒューリックの通期決算が公表されました。
通期(2020年1月1日から2020年12月31日)連結経常利益は、約956億円でした。
これは、前年同期比12.9%増となっています。
通期のセグメント利益は約1,097億円で、前年比13.18%増です。
セグメント別の増減は次のとおりです。
セグメント | 通期利益 | 前年比 |
---|---|---|
不動産事業 | 115,374百万円 | +20.54% |
保険事業 | 667百万円 | +7.75% |
ホテル・旅館事業 | △7,492百万円 | 赤字 |
不動産事業は、東京都23区を中心に賃貸用物件だけでも約250件から収益を得ています。
新しく取得した物件の賃料収入の増加に加えて、販売用不動産の売却も堅調に推移しました。
ホテル・旅館事業については、一部店舗の一時休業、稼働率の低下がありました。
また「THE GATE HOTEL」や「ふふ」の新規店舗開業などもあって、営業損失が膨らみました。
ヒューリック(3003)を徹底分析! まとめ



ヒューリックのことがなんとなくわかったよ。



この状況下でも、事業が堅調に推移しているね!
ここまで、ヒューリックについて事業概要や株価について徹底分析してきました。
重要なポイントをまとめると、次のとおりです。
- ヒューリックは、不動産賃貸事業を中心に、ホテル・旅館事業や保険代理店事業を行う
- ヒューリックの売上・利益は順調に伸びており、今後も増配が期待できる
- ヒューリックを含めて、不動産業はレバレッジ取引をしている企業が多く、集中投資は禁物
最後まで読んでいただきありがとうございます。
日本株の買い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
まみこでした。


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