
この前紹介したJTは、最近どうなの?



4月30日に、第1四半期決算が発表されたよ!
- 日本株を買いたいけど、なにを買ったらいいかわからない
- JTがどんな銘柄か知りたい
- JTの最新の業績を知りたい
この記事では、2021年4月30日に発表されたJTの2021年12月期第1四半期決算の内容についてご紹介します。
過去の業績や財務指標については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
JT(2914)の事業概要


ここからは、日本たばこ産業(以下「JT」)が行っている事業について解説していきます。
JTの会社概要
日本たばこ産業株式会社(にほんたばこさんぎょう、英文社名:JAPAN TOBACCO INC.、略称: JT)は、日本たばこ産業株式会社法(JT法)に基づき設置された、たばこ並びに医薬品、食品・飲料を製造・販売する日本の特殊会社。財務省所管。
Wikipedia(日本たばこ産業)から引用
JTは、JT法に基づき設置された特殊会社です。
- JT法
-
たばこ事業法第1条に規定する目的を達成するため、JTの事業内容等を定めた法律です。
この法律により、日本政府はJT株の3分の1を超える分を保有しなければなりません。
また取締役変更など、さまざまな手続きにあたって財務大臣の認可が必要、といったことが定められています。 - たばこ事業法第1条
-
たばこ税が日本の財政収入において重要な役割を果たしていることから、日本のたばこ産業の発展と、財政収入の安定確保を図ることなどが定められています。



なんだか難しいよ・・・。



民間企業だけど、国が株主として、いろいろ口を出してくるってことだよ!NTTも似たような感じだね。
なお、日本政府のJT株保有義務は、平成23年に「2分の1以上」から「3分の1超」に見直しされました。
JT株を売却して得た約5兆円は、東日本大震災の復興財源としました。
JTは、次の4つを報告セグメントとしています。
- 国内たばこ事業
- 海外たばこ事業
- 医薬事業
- 加工食品事業
セグメント利益のうち、海外たばこ事業が6割超、国内たばこ事業が3割弱となっています。
医薬事業や加工食品事業にも取り組んでいるものの、たばこが中核事業であることに変わりはありません。
2018年時点で、たばこ事業の世界シェアは第4位を誇っています。
国内たばこ事業
国内での製造たばこの製造・販売を行っています。
日本のほかに、中国、香港、マカオ市場を含んで、国内たばこ事業としています。
海外たばこ事業
完全子会社の「JTインターナショナル」を中核として、海外での製造たばこの製造・販売を行っています。
JTインターナショナルの本社は、スイスのジュネーブにあります。
医薬事業
医療用医薬品の研究開発・製造・販売を行っています。
加工食品事業
冷凍・常温加工食品、ベーカリー、調味料などの製造・販売を行っています。
JT(2914)が第1四半期決算を発表!


2021年4月30日に、JTの第1四半期決算が発表されましたので、その内容を解説していきます。
なお、特定銘柄および株式市場全般の推奨や株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。投資の判断は自己責任でお願いいたします。
株価指標と配当利回り
JTの株価指標と配当利回りは次のとおりです。
株価 | 2,044円(△107円) |
年間配当 | 130.00円 |
配当利回り | 6.36%(△0.79%) |
発行株式数 | 2,000,000,000株 |
時価総額 | 4,088,000百万円 |
予想当期利益 (会社予想) | 240,000百万円 |
20.12期末純資産 | 2,522,834百万円 |
PER | 17.03倍 |
PBR | 1.62倍 |
株価は、前回記事をアップした2021年2月9日終値から107円(△4.97%)値下がりしました。
JTは前期比24円減配する配当予想を発表しています。
依然配当利回りは日本株でもトップクラスですが、株価を下げる形となっています。
JTは東証33業種では、「食料品」に分類されています。
JTは国内でたばこ業を独占的に行っているので、国内他社とPERやPBRを比較することは困難です。
なお、東証1部全体の加重平均で、2021年3月はPERが26.2倍、PBRが1.4倍となっています。
東証1部全体でみれば、JTの現在の株価はPERは割安、PBRは割高と見ることもできます。
PER・PBRの考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
過去3ヶ月の株価変動は次のとおりです。
青いチャートがJT、オレンジのチャートは日経平均株価を表しています。


株価変動に影響を与えたと思われるようなニュースは次のとおりです。
- 2月9日、20.12期通期決算を発表。
- 同日、2021年経営計画や、「たばこ事業運営体制の強化について」を発表
- 同日、21.12期の配当予想を発表。24円の大幅減配の見込み。
- 4月30日、21.12期第1四半期決算を発表。
- 同日、譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分について発表
2月9日終値2,151円に対し、2月10日始値1,963円です。
次期減配予想を受けて、売りが大きく先行し、その暴落率は8.7%に及びました。



減配が与える影響は大きいんだね。



大きく下落したことで、「今の配当利回りを考慮すれば、むしろ割安!」と考える投資家もいて、緩やかに株価は回復しているよ。
株主優待


JTには、株主優待があります!
100株以上を1年間以上保有した株主が対象で、権利確定日は12月末です。
保有株式数ごとの株主優待は次のとおりです。
100株以上 | 2,500円相当の自社グループ商品 |
200株以上 | 4,500円相当の自社グループ商品 |
1,000株以上 | 7,000円相当の自社グループ商品 |
2,000株以上 | 13,500円相当の自社グループ商品 |
自社グループ商品とは、たばこのことではありません。
ごはんやカップ麺などから選ぶことができます。
また優待品に代えて、社会貢献活動団体への寄附を選択することもできます。
第1四半期決算の概要
2021年4月30日に、JTの2021年12月期第1四半期決算が公表されました。
連結営業利益は、約1,601億円でした。
これは、前年同期比24.2%増となっています。
セグメント別の利益および増減は次のとおりです。
セグメント | 利益(円) | 増減 |
---|---|---|
国内たばこ | 480億 | +11.0% |
海外たばこ | 1,336億 | +28.4% |
医薬 | 42億 | △35.7% |
加工食品 | 3.2億 | △22.2% |
計 | 1,862億 | +20.7% |
第1四半期は、たばこ事業が好調に推移しています。
特に海外たばこでは、渡航制限によって一部の高単価市場での需要が増加したことなどから、一時的要因ではありますが、前年同期比で大きな増益となっています。
譲渡制限付株式報酬としての自己株式処分
2016年度の税制改正を機に、役員報酬として、自社株を「譲渡制限付株式」として渡すケースが増えています。
そもそも役員報酬については、固定給ではなく、「インセンティブ報酬」つまり業績連動型の報酬を支払う会社が増えています。
譲渡制限付株式報酬は、インセンティブ報酬の一例です。
その名の通り譲渡制限付株式は、一定期間株式を譲渡することができませんので、株価の値上がりや配当収入を期待するしかありません。
役員がもらった株式は「自社株」なので、株価を上げたり、配当収入を増やすために、役員自身のモチベーションアップにつながります。
また、役員が自社株を保有することで、株主目線での経営を促すことができます。
今回、JTが役員に報酬として支給する譲渡制限付株式の譲渡制限期間は、30年とされています。
なお、任期満了などによって役員でなくなった場合は、譲渡制限は解除されます。
譲渡制限付株式報酬として処分した自己株式は、238,400株で、1株あたり2,060.5円で算出しています。
業績予想・配当予想の修正はなし


2021年2月9日に、20.12期の通期決算とともに、21.12期の業績予想および配当予想が発表されました。
21.12期は24円の減配予想ということで、発表の翌日は大きく株価を下げることになりました。
2021年4月30日に発表された第1四半期決算では、たばこ事業が好調に推移し、好決算となりました。
しかし、通期の業績予想や配当予想の修正はありませんでした。
当期純利益ベースでは、第1四半期は前年同期に比べて27,157百万円増えています。
第2四半期以降が前年と全く同じ当期純利益だとした場合、次の表のとおりとなります。
当期純利益 | 337,410百万円 |
EPS | 168.70円 |
配当性向 (配当金130円の場合) | 77.05% |
配当性向 (配当金154円の場合) | 91.28% |
配当性向を考えると、現在の配当予想である130円がギリギリ支出できる範囲であることに変わりはなさそうです。
続いて、このままたばこ事業が好調に推移し、当期純利益が前年比で20%伸びたと仮定してみましょう。
当期純利益 | 372,303百万円 |
EPS | 186.15円 |
配当性向 (配当金130円の場合) | 69.83% |
配当性向 (配当金154円の場合) | 82.72% |
通常の企業では、配当性向が80%を超える状況は好ましくありません。
新たな設備投資ができず、事業が衰退していく可能性があるからですね。
たばこ事業の場合は、設備投資がほとんど必要ないことから、配当性向は高い傾向にあります。
私の予想では表のとおり、当期純利益ベースで前年比20%増やすことができれば、配当金154円を維持するのではないかとみています。
逆に、年間を通して今のペースで利益が増やしていくことができなければ、減配はやむを得ない状況だといえそうです。
売上高、キャッシュフロー、配当推移など
JTの過去の売上高やキャッシュフロー、配当推移などは、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
JT(2914)が21.12期第1四半期決算を発表! まとめ



最近のJTのことがなんとなくわかったよ。



第1四半期は好決算だったから、このまま継続してほしいね!
ここまで、JTの21.12期第1四半期決算の内容について解説してきました。
重要なポイントをまとめると、次のとおりです。
- JTの21.12期第1四半期は、メインのたばこ事業で好決算!営業利益は前年同期比で24%増。
- JTは、役員報酬として譲渡制限付株式報酬を支給することを発表。
- 業績予想・配当予想の修正はなし。配当金を維持するには、年間を通して今のペースで利益を増やす必要がある。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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その5つの理由について解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
まみこでした。


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