
この前紹介したJTは、最近どうなの?



2月9日に、通期決算が発表されたよ!
- 日本株を買いたいけど、なにを買ったらいいかわからない
- JTがどんな銘柄か知りたい
- JTの最新の業績を知りたい
この記事では、2021年2月9日に発表されたJTの2020年12月期通期決算の内容についてご紹介します。
過去の業績や財務指標については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
JT(2914)の事業概要


ここからは、日本たばこ産業(以下「JT」)が行っている事業について解説していきます。
JTの会社概要
日本たばこ産業株式会社(にほんたばこさんぎょう、英文社名:JAPAN TOBACCO INC.、略称: JT)は、日本たばこ産業株式会社法(JT法)に基づき設置された、たばこ並びに医薬品、食品・飲料を製造・販売する日本の特殊会社。財務省所管。
Wikipedia(日本たばこ産業)から引用
JTは、JT法に基づき設置された特殊会社です。
- JT法
-
たばこ事業法第1条に規定する目的を達成するため、JTの事業内容等を定めた法律です。
この法律により、日本政府はJT株の3分の1を超える分を保有しなければなりません。
また取締役変更など、さまざまな手続きにあたって財務大臣の認可が必要、といったことが定められています。 - たばこ事業法第1条
-
たばこ税が日本の財政収入において重要な役割を果たしていることから、日本のたばこ産業の発展と、財政収入の安定確保を図ることなどが定められています。



なんだか難しいよ・・・。



民間企業だけど、国が株主として、いろいろ口を出してくるってことだよ!NTTも似たような感じだね。
なお、日本政府のJT株保有義務は、平成23年に「2分の1以上」から「3分の1超」に見直しされました。
JT株を売却して得た約5兆円は、東日本大震災の復興財源としました。
JTは、次の4つを報告セグメントとしています。
- 国内たばこ事業
- 海外たばこ事業
- 医薬事業
- 加工食品事業
セグメント利益のうち、海外たばこ事業が6割超、国内たばこ事業が3割弱となっています。
医薬事業や加工食品事業にも取り組んでいるものの、たばこが中核事業であることに変わりはありません。
2018年時点で、たばこ事業の世界シェアは第4位を誇っています。
国内たばこ事業
国内での製造たばこの製造・販売を行っています。
日本のほかに、中国、香港、マカオ市場を含んで、国内たばこ事業としています。
海外たばこ事業
完全子会社の「JTインターナショナル」を中核として、海外での製造たばこの製造・販売を行っています。
JTインターナショナルの本社は、スイスのジュネーブにあります。
医薬事業
医療用医薬品の研究開発・製造・販売を行っています。
加工食品事業
冷凍・常温加工食品、ベーカリー、調味料などの製造・販売を行っています。
JT(2914)が通期決算を発表!


2021年2月9日に、JTの通期決算が発表されましたので、その内容を解説していきます。
なお、特定銘柄および株式市場全般の推奨や株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。投資の判断は自己責任でお願いいたします。
株価指標と配当利回り
JTの株価指標と配当利回りは次のとおりです。
株価 | 2,151円(+105円) |
年間配当 | 154.00円 |
配当利回り | 7.15%(△0.37%) |
発行株式数 | 2,000,000,000株 |
時価総額 | 4,302,000百万円 |
当期利益 | 310,253百万円 |
PER | 12.31倍 |
PBR | 1.49倍 |
株価は、前回記事をアップした2021年1月8日終値から105円(+5.13%)値上がりしました。
配当利回りは7%台で、依然として日本株トップクラスの高配当銘柄です。
ただし、21.12期は24円減配するとの配当予想が発表されており、現在の株価だと6.04%まで下がります。
JTは東証33業種では、「食料品」に分類されています。
JTは国内でたばこ業を独占的に行っているので、国内他社とPERやPBRを比較することは困難です。
なお、東証1部全体の加重平均で、2020年12月はPERが23.1倍、PBRが1.3倍となっています。
東証1部全体でみれば、JTの現在の株価はPERは割安、PBRは少し割高と見ることもできます。
PER・PBRの考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
過去3ヶ月の株価変動は次のとおりです。


12月にかけて株価が上昇し、配当落ち日である12月29日に株価が暴落しています。
これは、特にJTにおいては恒例行事となっています。
12月28日(権利付き最終日)時点でJT株を保有していれば、JTの配当金を受け取ることができるので、その翌日(権利落ち日)に売りが殺到するという状態です。
逆に権利付き最終日の直前に株を売却して、配当金よりも売却益を狙うという手法も有名です。
また、長期投資家目線で言えば、権利落ち日の株価が暴落したタイミングで株を買い増すこともできますね。
株価変動に影響を与えたと思われるようなニュースは次のとおりです。
- 10月30日、第3四半期決算を発表。
- 1月13日、加熱式たばこ用デバイス「プルーム・テック・プラス・ウィズ」の全国発売を発表
- 2月9日、通期決算を発表。
- 同日、2021年経営計画や、「たばこ事業運営体制の強化について」を発表
- 同日、21.12期の配当予想を発表。24円の大幅減配の見込み。
たばこ運営体制強化の一環として、2022年1月から国内たばこ事業と海外たばこ事業を一本化します。
株主優待


JTには、株主優待があります!
100株以上を1年間以上保有した株主が対象で、権利確定日は12月末です。
保有株式数ごとの株主優待は次のとおりです。
100株以上 | 2,500円相当の自社グループ商品 |
200株以上 | 4,500円相当の自社グループ商品 |
1,000株以上 | 7,000円相当の自社グループ商品 |
2,000株以上 | 13,500円相当の自社グループ商品 |
自社グループ商品とは、たばこのことではありません。
ごはんやカップ麺などから選ぶことができます。
また優待品に代えて、社会貢献活動団体への寄附を選択することもできます。
通期決算の概要
2021年2月9日に、JTの2020年12月期通期決算が公表されました。
連結経常利益は、約4,200億円でした。
これは、前年同期比9.7%減となっています。
セグメント別の利益および増減は次のとおりです。
セグメント | 利益(円) | 増減 |
---|---|---|
国内たばこ | 5,632億 | △10.2% |
海外たばこ | 1兆3,308億 | △0.57% |
医薬 | 789億 | △10.8% |
加工食品 | 1,493億 | △5.83% |
計 | 2兆1,223億 | △3.72% |
21.12期の減配予想を発表
20.12期の通期決算の発表とともに、21.12期の配当予想も発表されています。
まず20.12期は前期比「維持」の154円となり、前期までの16期連続増配でストップしました。
そして、21.12期の配当予想は「大幅減配」の130円となっています。
以前の記事でもご紹介したように、近年のJTの配当性向は70%を超えており、かなり高い水準でした。
ただし配当性向が高いだけなら、今後大きな設備投資が必要ないことを考えると、そこまで気にする必要はありません。


問題は、EPS(1株当たり利益)が右肩下がりに推移していることです。
EPSが右肩下がりになっている状態で増配を続けていることが異常で、配当性向が高くなるのも当然です。
EPSが回復しないのであれば、近いうちに減配もしくは無配となることは明らかでした。
配当金 | EPS | 配当性向 | |
---|---|---|---|
20.12期 | 154円 | 156.01円 | 98.7% |
21.12期予想 | 130円 | 135.30円 | 96.0% |
この表からもわかるように、21.12期に大幅減配となる見込みであるものの、配当性向は20.12期とほとんど変わりません。
21.12期の当期利益予想が更に大きく下がると予想しているからですね。
実際にこれだけの当期利益しか上げられないのであれば、130円への大幅減配はかなり現実味を帯びてくると考えた方がよいでしょう。
経営計画2021を発表
2021年2月9日、経営計画2021が発表されました。
- HTSやRMCに経営資源を集中的に投入
- 日本マーケットの競争力強化
- 配当性向75%を目安に
個人的に気になった点を列記してみました。
順に解説していきます。
HTSやRMCに経営資源を集中的に投入
HTSは、高温加熱型の加熱式たばこを指します。
RMCは、一般的な「紙巻きたばこ」を指します。
その中でも、HTSに対して資源配分を最優先し、RMCについてはリターンを重要視する形をとります。
RMCについては需要が大きく減少しており、HTSでどれだけシェアを確保できるかがカギとなります。
日本マーケットの競争力強化
日本マーケットの競争力を強化するため、2022年4月から新体制に移行します。
全国共通の営業活動をするのではなく、地域の特性に沿ったフィールドマーケティング型営業へ転換を図ります。
具体的には、「全国ー支社ー支店」の3階層から、「本社ー支社」の2階層へ体制変更します。
それに伴い、15支社145支店体制から、47支社体制へと変更し、地域密着型の営業を推進します。
配当性向75%を目安に
中長期的な利益成長につながる事業投資を最優先としながら、利益成長と株主還元をバランスよく実施していきます。
その中で、配当性向を75%を目安としていくことが盛り込まれています。
配当性向75%の根拠として、ステークホルダーモデルを掲げ、高い事業成長を実現している企業群の還元動向をモニタリングしているようです。
JTにおけるステークホルダーは、株主や従業員のほかに、サプライヤー、事業者関係団体、地域コミュニティ、NGO・NPO、政府・規制当局などを指します。
ステークホルダーとは、日本語で利害関係者を表します。
ステークホルダーモデルは、企業を運営していくにあたっては、株主に限らず、多種多様な利害関係者に配慮していく必要があるという考え方です。
売上高、キャッシュフロー、配当推移など
JTの過去の売上高やキャッシュフロー、配当推移などは、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
JT(2914)が20.12期通期決算を発表! まとめ



最近のJTのことがなんとなくわかったよ。



遂に、JTの「減配」が現実味を帯びてきたね。
ここまで、JTの20.12期通期決算内容について解説してきました。
重要なポイントをまとめると、次のとおりです。
- JTの20.12期通期決算は減収減益で、次期も更に減収減益見込みである
- JTは21.12期に大幅減配予想を発表。当期利益予想どおりであれば減配は既定路線か
- JTの今後の巻き返しは、トレンドである加熱式たばこでシェアを確保できるかどうかが重要である
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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その5つの理由について解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
まみこでした。


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