
JACってどんな銘柄なの?



海外転職に強みを持つ転職エージェントで、人材紹介業の準大手だよ!
- 日本株を買いたいけど、なにを買ったらいいかわからない
- JAC Recruitmentがどんな企業か知りたい
- JAC Recruitmentの業績が知りたい
2021年2月12日に通期決算が発表された、JAC Recruitment(以下、「JAC」)を分析します。
この記事を読めば、さまざまな指標からJACに投資するかどうか判断することができます。
JAC(2124)の事業概要


ここからは、JACが行っている事業について解説していきます。
JACの会社概要
株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント(英: JAC Recruitment Co., Ltd.)は外資、海外転職に特に強みをもった総合転職エージェント(人材紹介会社)である
Wikipedia(ジェイエイシーリクルートメント)から引用
転職エージェントは、人材紹介サービスの一つで、求人の紹介や面接対策を受けることができます。
転職エージェントは、求職者が転職した会社から報酬をもらうので、求職者はサービスを無料で受けることができます。
JAC Recruitmentも転職エージェントの一つで、外資や海外転職に強みを持っています。
報告セグメントは、次のとおりです。
国内人材紹介
JACのコア事業(中核事業)です。
求職者に対して、希望に沿った求人広告を紹介したり、面接対策などを行います。
紹介した人材が入社に至った場合、入社先企業から成功報酬をもらうというビジネスモデルです。
国内求人広告
国内の求人広告を掲載します。
以前は前課金型でしたが、2020年度から成功報酬型に切り替えました。
海外
海外11か国と地域に子会社20社を設置し、サービスの提供を行っています。
長期的な成長戦略に不可欠な事業として位置付けています。
JAC(2124)の株価分析!


ここからは、さまざまな指標からJACの株価を分析していきます。
なお、特定銘柄および株式市場全般の推奨や株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。投資の判断は自己責任でお願いいたします。
株価指標と配当利回り
JACの株価指標と配当利回りは次のとおりです。
株価 | 1,650円 |
年間配当 | 70円 |
配当利回り | 4.24% |
発行株式数 | 41,292,000株 |
時価総額 | 68,131百万円 |
確定当期利益 | 1,834百万円 |
PER | 37.14倍 |
PBR | 4.96倍 |
現在の配当利回りは4.24%で、高配当銘柄と言える水準でしょう。
JACの業種は、「サービス業」に該当します。
2021年2月の業種別平均は、PERは24.2倍、PBRは1.8倍となっています。
同業種他社とPER・PBRを比較します。
銘柄 | 予想PER | PBR |
---|---|---|
JAC(2124) | 37.55倍 | 4.80倍 |
リクルートHD(6098) | 66.85倍 | 7.96倍 |
パーソルHD(2181) | 32.58倍 | 3.38倍 |
パソナグループ(2168) | 12.15倍 | 1.94倍 |
キャリアデザイン(2410) | 赤字 | 2.25倍 |
いずれも、人材紹介業、人材派遣業、求人検索サイト運営などを行っています。
業種別平均や同業種他社と比較を行った結果、次のように分析しました。
JACの現在の株価は、PER・PBRいずれにおいても、やや割高です。
PERは、今期の当期純利益予想で、株価が割安かどうかを表す、短期的視点による指標です。
PBRは、純資産残高を見た時に、株価が割安かどうかを表す、長期的視点による指標です。
PBRやPERの考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
なお、過去1年の株価変動は次のとおりです。


青いチャートがJAC、オレンジのチャートは日経平均株価を表しています。
日経平均が緩やかに上昇していく中で、JACは2020年11月頃から高騰しています。
過去1年では、2021年2月8日の1,970円が最高値で、2020年4月6日の884円が最安値となっています。
株価変動に影響を与えたと思われるようなニュースは次のとおりです。
- 11月13日、第3四半期決算を発表。
- 同日、業績予想について、「未定」から「減収減益」という予想を発表。
- 同日、配当予想について、「未定」から「維持」の80円という予想を発表。
- 2月12日、通期決算を発表。配当は維持の80円、次期は10円減配見込み。
- 同日、自己株式立会外買付取引による自己株式の取得を実施することを発表。上限は100万株。
- 同日、2020年からの中期経営計画を全面的に修正。2021年から新たにスタート。
- 2月15日、自己株式の取得結果を公表。100万株を取得。
第3四半期決算や、配当維持の発表などを受けて株価が急騰したようです。
通期決算発表時には、次期配当予想が示されましたが、21.12期は通期で10円の減配となる見込みです。
売上高、経常利益の推移
JACの売上高と経常利益の推移は次のようになっています。


20.12期は売上高・経常利益ともに下降してしまいましたが、それまでは綺麗な右肩上がりでした。
21.12期は、20.12期を上回って回復していく予想となっていますので、期待しましょう。
経常利益(円)=営業利益(円)+営業外利益(円)-営業外費用(円)
営業利益率の推移


営業利益とは、本業で稼いだ利益のことです。
営業利益率は、売上高に占める営業利益の割合を示すもので、営業利益率が高ければ、本業の業績が良いと判断することができます。
日本株の営業利益率の平均は7%前後で、10%を超えれば良好と判断することができます。
JACの営業利益率は、30%前後を推移しており、かなり高い水準です。
人材紹介業においては、ネットを通じた紹介をメインとしている場合に、人件費を抑えることができ、営業利益率が高い傾向にあるようです。
営業利益率(%)=営業利益(円)÷売上高(円)×100
キャッシュ・フローの推移
キャッシュ・フローは、現金の動きを表したものです。
JACのキャッシュ・フローの推移は次のとおりです。


全ての年で営業CFが黒字で、かつ右肩上がりに推移しており、非常に素晴らしいキャッシュフローです。
多くの年で、次のようなキャッシュフローとなっています。
- 営業CF 黒字
- 投資CF 赤字
- 財務CF 赤字
本業で生み出したお金だけで、新たな設備投資や、借入金の返済を行っています。
かつ、営業CFが右肩上がりなので、設備投資による事業拡大も順調です。
非の打ち所がない、完ぺきなキャッシュフローです。
同じように、完ぺきなキャッシュフローを形成している企業が、化学業の「バルカー」です。
バルカーも、財務指標が非常に良好な高配当銘柄で、筆者がオススメする銘柄の一つです。
こちらの記事で詳しく解説しています。


自己資本比率の推移


自己資本比率は、総資産に占める、自己資本(純資産)の割合を示すものです。
純資産は、総資産から負債を引いたものです。
つまり、自己資本比率が50%を超えていれば、負債よりも自己資本の方が多いということです。
一般的に、自己資本比率が40%を超えていれば、倒産リスクは低いと言われています。
JACの自己資本比率は、75%前後を推移しています。
JACの自己資本比率はとても高い水準で、債務超過による倒産リスクは当面かなり薄いと言えるでしょう。
自己資本比率(%)=自己資本(総資産-負債)÷総資産
ROE、ROAの推移


このグラフは、JACのROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)の推移を表しています。
日本株のROE平均は6%から7%程度、ROA平均は3%程度です。
JACは近年、ROE・ROAともに平均を大きく上回る高い水準で推移しています。
減益となった20.12期でさえ、ROE・ROAいずれも平均を上回っています。
投下資本に対して、効率のいい経営をしていることがわかります。
ROE(%)=当期純利益(円)÷純資産(円)
ROA(%)=当期純利益(円)÷総資産(円)
株主優待


JACには、株主優待がありません。
配当金、配当性向
JACの配当金と配当性向の推移は、次のようになっています。
配当金 | 配当性向 | |
---|---|---|
11年12月 | 2.33円 | 8.58% |
12年12月 | 5円 | 13.73% |
13年12月 | 8円 | 16.76% |
14年12月 | 13円 | 20.33% |
15年12月 | 19円 | 28.93% |
16年12月 | 30円 | 23.98% |
17年12月 | 50円 | 33.6% |
18年12月 | 65円 | 52.81% |
19年12月 | 80円 | 61.62% |
20年12月 | 80円 | 180.1% |
21年12月(予想) | 70円 | 85.82% |
JACは19.12期まで連続増配を継続していましたが、20.12期は維持となりました。
20.12期の配当性向は180%とかなり高く、身銭を削って配当金を支払った形です。
また、21.12期は10円の減配見込みです。
それでも、当期純利益予想に基づく配当性向は、85%と高い水準です。
21.12期の減配は、今後の健全経営を考えるならやむを得ないというところでしょう。
配当性向(%)=1株当たり配当金(円)÷EPS(円)


EPSは、当期利益を、発行済み株式数で割ることで求めることができ、「1株当たり利益」とも言われます。
EPSも19.12期までは右肩上がりでしたが、20.12期は大きく下降しました。
ただし、21.12期の予想では、ある程度回復傾向にあります。
長い目で見れば、EPSが回復することで再び増配傾向になることが期待できます。
EPS(円)=当期純利益÷発行済み株式数
JACの通期決算内容
2021年2月12日に、JACの通期決算が公表されました。
通期(2020年1月1日から2020年12月31日)では、約52億円の経常利益となりました。
これは、前年同期比で14.7%減となっています。
セグメント利益(損失)は、次のとおりです。
セグメント | 利益(円) | 対前年比 |
---|---|---|
国内人材紹介 | 54.2億 | △11.0% |
国内求人広告 | △0.7億 | 前期黒字、 今期赤字 |
海外 | △17.6億 | 前期赤字、 今期赤字 |
計 | 35.9億 | △40.7% |
国内人材紹介では、2020年上半期の業績は計画に沿った結果を出すことができたものの、緊急事態宣言以降は在宅勤務の実施、求人案件減少など厳しく、第3四半期の業績は大きく低迷しました。
海外では、今般の情勢による影響は大きく、第2四半期には特別損失を計上しました。
JACは長期的な成長戦略として、海外事業が不可欠であると考えており、早期の事業再建を図っています。
JAC(2124)を徹底分析! まとめ



JACのことがなんとなくわかったよ。



財務指標はすごく良好で、業績も21.12期から回復していくみたいだから、私もぜひ投資したい銘柄だよ!
ここまで、JACについて事業概要や株価について徹底分析してきました。
重要なポイントをまとめると、次のとおりです。
- JACは、外資や海外転職に強みを持つ、「転職エージェント」の一つ。
- JACは、20.12期は減収減益となったものの、21.12期はある程度回復する見込みである。
- JACの財務状況や利益率は非常に良好で、当面倒産リスクが非常に低い銘柄である。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
日本株の買い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
まみこでした。


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